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甲状腺癌の予後   [甲状腺 専門医 橋本病 バセドウ病 甲状腺超音波検査(エコー) 内分泌の長崎甲状腺クリニック(大阪)]

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甲状腺癌の5年生存率

甲状腺の基礎知識を初心者でもわかるように、長崎甲状腺クリニック(大阪府大阪市東住吉区)院長が解説します。

高度で専門的な知見は甲状腺編 甲状腺編 part2 を御覧ください。

甲状腺癌の予後

Summary

国立がんセンターによる癌の5年生存率で甲状腺癌は女性1位、男性3位。甲状腺癌の10年生存率・予後は乳頭癌・濾胞癌、髄様癌、低分化癌、未分化癌の順に低下。甲状腺癌の85%を占める甲状腺乳頭癌の10年生存率は96%で遠隔転移(肺転移・骨転移)、高細胞型、高Ki67-U(MIB-1ラベリング)型は予後悪化。甲状腺濾胞癌の10年生存率は80%前後で、肺・骨へ血行性遠隔転移すれば予後悪化。甲状腺未分化癌は限局型stageⅣAは根治手術可能で生存期間1年以上可能、遠隔転移stageⅣCは根治手術を期待できず平均余命6カ月程。拡大手術した進行甲状腺癌(甲状腺分化癌,低分化癌,未分化癌)の予後は改善。

Keywords

5年生存率,甲状腺癌,10年生存率,予後,乳頭癌,濾胞癌,髄様癌,低分化癌,未分化癌,遠隔転移

甲状腺癌の5年生存率・予後

癌の5年生存率

国立がんセンター が公表した癌の5年生存率の全国推計値。5年生存率とは、がんと診断されてから5年間生きている人の割合で、がん以外による死亡を除いた数値です。

全ての癌の5年生存率は男性で59.1%、女性で66.0%です。女性では甲状腺癌がダントツ1位で94.9%、男性の甲状腺癌は3位で89.5%と、全ての癌の5年生存率をはるかに上回っています。

当然、甲状腺癌の85%を占める甲状腺乳頭癌と、10%弱の甲状腺濾胞癌、いわゆる甲状腺分化癌の予後が良いためです。非分化癌である甲状腺髄様癌や、甲状腺原発悪性リンパ腫(MALTリンパ腫)も決して予後悪くないため、甲状腺癌の5年生存率は高いのです。

ただし、いくら予後の良い組織型が多いと言っても

  1. 甲状腺低分化がん甲状腺未分化癌など予後不良型もあれば
  2. 甲状腺乳頭癌でも高細胞型、高Ki67-U(MIB-1ラベリング)型は予後不良。
  3. 甲状腺乳頭癌の10年生存率は95~96%です。 しかし、肺転移・骨転移すれば、その限りではありません。また、甲状腺濾胞癌の10年生存率は80%前後で、血行性転移し、肺・骨への遠隔転移が多いです。甲状腺癌の遠隔転移で最も多いのが肺転移です。I-131内服療法(アイソトープ治療)を行った場合の10年生存率は、肺転移のみで70%、骨転移もあると40%。予後が良いと言いつつも遠隔転移があると悪くなります。

甲状腺癌の10年生存率・予後

愛知県がんセンターの公表データ改変(施設データなので教科書とは異なります)

組織型
分化癌
髄様癌 低分化癌 未分化癌
乳頭癌 濾胞癌
頻度 92% 3% 2% 2% 2%
平均年齢 52-54歳 52歳 59歳 高 年
発育速度 緩やか 型による やや急速 急速
周囲浸潤 49% 17% 87% 89% ほぼ100%
頸部リンパ節転移 69% 0% 87% 89% ほぼ100%
血行性転移 7% 17% 0% 44%
治療法 外科手術
10年生存率 92% ほぼ100% 73% 56%(5年) 0%

甲状腺未分化癌のうち

  1. 限局型のstage Ⅳ Aは、根治手術可能で生存期間1年以上が可能です(Ann Surg Oncol 2002;9:57-64.)周囲臓器に進展した(stage Ⅳ B)
  2. 遠隔転移して(stage Ⅳ C)は、根治手術を期待できず、放射線外照射・化学療法・分子標的薬治療が適応ですが、平均余命6カ月程です。

拡大手術が施行された進行甲状腺癌の経過

伊藤病院の報告では、拡大手術(反回神経の合併切除,喉頭・気管の全層切除,咽頭・食道の全層切除,縦隔切開もしくは鎖骨切除)が行われた進行甲状腺癌(甲状腺分化癌低分化癌未分化癌)212 例の予後は、

分化癌/ 低分化癌/ 未分化癌
  1. 3年生存率(98.25%/93.3%/29.3%)
  2. 局所無再発率(75.2%/46.35%/52.3%)
  3. 遠隔無再発率(84.2%/41.1%/50.9%)

との事です。(第57回 日本甲状腺学会 P1-063 拡大手術が施行された進行甲状腺癌の経過)

もちろん、術後アブレーション(131-Iアイソトープ、放射線内照射)治療も併用されているのでしょうが、甲状腺分化癌はこれほどの拡大手術を要する進行癌でも、3年生存率98.25%と非常に予後が良いです。

さらに驚くべきは、甲状腺未分化癌の予後です。甲状腺未分化癌の平均余命は6カ月で(つまり手術するには手遅れ)、手術可能であった症例は1-2年の平均余命が一般的です。伊藤病院の報告は3 年生存率29.3%で、3年以上生存する甲状腺未分化癌が約30%いる事になります。

広範囲に転移するデルフィアンリンパ節転移

デルフィアンリンパ節

デルフィアンリンパ節は甲状腺が気管の最腹側に接する部分(甲状腺峡部)の頭側に位置し、甲状腺がんができた場合、その転移の有無が甲状腺がんの予後を左右する(早い話、デルフィアンリンパ節転移があれば、生存率が低くなる)と言われます(World J Surg. 2013 Nov;37(11):2594-9.)。その理由は、デルフィアンリンパ節転移は中心線上にあるため、甲状腺がん細胞が中心線・左右と全方向に広がるためです。

甲状腺がんがなく、橋本病(慢性甲状腺炎)だけでも、デルフィアンリンパ節が腫れるのはよくあることです。

逆にデルフィアンリンパ節の腫れが、橋本病(慢性甲状腺炎)の超音波(エコー)診断につながるという論文もあります(Radiology Research and Practice)。

デルフィアンリンパ節 超音波(エコー)画像

デルフィアンリンパ節 超音波(エコー)画像

デルフィアンリンパ節 超音波(エコー)画像

デルフィアンリンパ節 超音波(エコー)画像

各種の甲状腺癌の予後

手術治療された甲状腺癌患者の死因

手術治療された甲状腺癌患者の死因を知るには、長期間に渡る追跡調査が必要です。大分県の野口病院では手術治療された甲状腺癌患者の追跡調査を1946年から行い、追跡調査率99.7%の驚異的な数字です(第二次世界大戦の時から・・・)。

1998年から2014年までに死亡が判明した手術後甲状腺癌患者1,481名と、厚生労働省の人口動態統計年報(1998-2014年)の「死因分類別に見た 死亡数」を比較。(第61回 日本甲状腺学会 O18-1 甲状腺癌罹患者の死因分析)

野口病院
死因悪性新生物 悪性新生物(甲状腺癌除く)心疾患慢性閉塞性肺疾患
甲状腺癌患者 51.5%* 38.6%*9.5%*0.3%**
人口動態統計 29.9% 抄録に提示されておらず15.6%1.3%

*p<0.0001、**p<0.0009

で、手術治療された甲状腺癌患者の死因は、一般人口の死因と比べ、

  1. 甲状腺癌による死亡が有意に多い(当たり前)
  2. 甲状腺癌以外の悪性新生物(癌)による死亡が有意に多い(これは驚いた)
  3. 心疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)による死亡が有意に少ない

結論

手術治療された甲状腺癌患者は、他臓器癌の発生にも注意する必要がある。

甲状腺関連の上記以外の検査・治療    長崎甲状腺クリニック(大阪)

長崎甲状腺クリニック(大阪)とは

長崎甲状腺クリニック(大阪)は甲状腺(橋本病,バセドウ病,甲状腺エコー等)専門医・動脈硬化・内分泌の大阪市東住吉区のクリニック。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,天王寺区,東大阪市,生野区,浪速区も近く。

長崎甲状腺クリニック(大阪)


長崎甲状腺クリニック(大阪)は甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査等]の大阪府大阪市東住吉区にある甲状腺専門クリニック。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市近く

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