DPP-4阻害薬 テネリグリプチン(テネリア),リナグリプチン(トラゼンタ)と甲状腺,甲状腺癌[橋本病 甲状腺機能低下症 バセドウ病 長崎甲状腺クリニック 大阪]
甲状腺:専門の検査/治療/知見 橋本病 バセドウ病 甲状腺エコー 長崎甲状腺クリニック大阪
甲状腺専門の長崎甲状腺クリニック(大阪府大阪市東住吉区)院長が海外・国内論文に眼を通して得た知見、院長自身が大阪市立大学(現、大阪公立大学) 代謝内分泌病態内科(第2内科)で得た知識・経験・行った研究、日本甲状腺学会で入手した知見です。
長崎甲状腺クリニック(大阪)以外の写真・図表はPubMed等において学術目的で使用可能なもの(Creative Commons License)、public health目的で官公庁・非営利団体等が公表したものを一部改変しています。引用元に感謝いたします。尚、本ページは長崎甲状腺クリニック(大阪)の経費で非営利的に運営されており、広告収入は一切得ておりません。
甲状腺・動脈硬化・内分泌代謝・糖尿病に御用の方は 甲状腺編 動脈硬化編 甲状腺以外のホルモンの病気(副甲状腺/副腎/下垂体/妊娠・不妊など) 糖尿病編 をクリックしてください。
DPP-4阻害による抗がん効果[Cancers (Basel). 2022 Apr 21;14(9):2072.]
1型、2型糖尿病を問わず甲状腺疾患の合併が多いとされます[BMC Med. 2016 Sep 30; 14(1):150.][Clin Endocrinol (Oxf). 2011 Jul;75(1):1-9.]。
長崎甲状腺クリニック(大阪)は甲状腺専門クリニックに特化するため、糖尿病内科を廃止しました。
Summary
DPP-4阻害薬はクローン病(Crohn 病)、乾癬、橋本病(慢性甲状腺炎)の有病率を上げる。DPP4(ジペプチジルペプチダーゼ4)は甲状腺癌のうちでも特に甲状腺髄様癌において高発現する。DPP4が高いほど、無病生存期間(DFS)が短い。DPP-4阻害薬テネリグリプチン(テネリア®)はQT延長から心室頻拍症、心室細動に移行する可能性のため甲状腺患者(甲状腺機能低下症における徐脈・うっ血性心不全、甲状腺機能亢進症/バセドウ病の低カリウム血症、甲状腺疾患で生じる低カルシウム血症)で要注意。リナグリプチン(トラゼンタ錠®)では起こらない。
Keywords
DPP-4阻害薬,橋本病,甲状腺,DPP4,テネリグリプチン,テネリア,QT延長,甲状腺機能低下症,甲状腺機能亢進症,バセドウ病
ジペチジルペプチダーゼ IV(dipeptidyl peptidase 4 : DPP4)は
- GLP-1などのインクレチン
-
IGF-1(ソマトメジンC)、GHRF(成長ホルモン放出因子)、プロラクチン(PRL)
-
thyrotropin アルファ(合成TSH製剤、タイロゲン®)
-
LH アルファ(合成LH製剤)
などペプチドホルモンを分解します。DPP4 阻害薬は、これらの分解を妨げます。
DPP4 阻害薬によって、TSHが正常範囲ながら有意に高くなる報告があります[J Diabetes. 2019 Jun;11(6):497.](第62回 日本甲状腺学会 P26-1 DPP4阻害薬とTSH)
DPP-4阻害薬は、炎症性腸疾患・炎症性関節炎・水疱性類天疱瘡を引き起こします。DPP-4阻害薬治療群と対照被験者を比較すると、
- クローン病(Crohn 病)[1.1 vs. 0.3%; odds ratios (OR), 3.56; 95% CI, 1.04-12.21, P = 0.031]
- 乾癬[2.5 vs. 1.2%; OR, 2.12; 95% CI, 0.99-4.66; P = 0.050]
- 橋本病(慢性甲状腺炎)[16.6 vs. 12.6%; OR, 1.38; 95% CI, 1.00-1.91; P = 0.049]
の有病率が有意に高かった。[Immunol Res. 2018 Jun;66(3):425-430.]
DPP-4(ジペプチジルペプチダーゼ4)は多種のがんに発現し、甲状腺癌のうちでも特に甲状腺髄様癌において高発現する。DPP-4が高いほど、無病生存期間(DFS)が短い(HR = 1.8、p = 0.048)。DPP-4は、免疫細胞浸潤および免疫応答と有意に相関し、甲状腺癌に認められる21の免疫チェックポイント遺伝子(ICG)と有意な正の相関がある。DPP-4は甲状腺癌の潜在的な予後マーカーであり、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の標的になり得る。[Int J Endocrinol. 2022 Nov 24;2022:5181386.]
甲状腺乳頭癌細胞のDPP-4遺伝子サイレンシングにより、MAPK経路が抑制され、細胞増殖・間葉細胞様形質変化の阻害とアポトーシス促進がおきる。[J Endocrinol Invest. 2021 Aug;44(8):1609-1623.]
経口で飲む糖尿病薬は、低血糖あるいは他の副作用のため、腎機能低下時に禁忌もしくは慎重投与となります。
シタグリプチン(商品名グラクティブ、ジャヌビア)、アログリプチン(商品名:ネシーナ)、ビルダグリプチン(商品名:エクア)、アナグリプチン(商品名:スイニー)、サキサグリプチン(商品名:オングリザ)、トレラグリプチン(商品名:ザファテック)、オマリグリプチン(商品名:マリゼブ)は、腎機能低下で減量が必要。
DPP-4阻害薬のリナグリプチン(商品名トラゼンタ錠)は、主に胆汁排泄型で腎機能低下した糖尿病患者にも使用でき、効果も他のDPP-4阻害薬と変わらないとされます。また、治療用量および高用量でもQT延長(二次性QT延長症候群)の副作用をおこさないことが報告されています
DPP-4阻害薬テネリグリプチン(商品名:テネリア)は胆汁、腎の2方向排泄排泄型で、腎機能低下した糖尿病患者にも使いやすい。しかしながら、QT延長(二次性QT延長症候群)の副作用をおこす危険があるため、甲状腺の病気には使い難いです。QT延長(二次性QT延長症候群)はトルサード・ド・ポアンツ(torsades de pointes)型の心室頻拍(VT)⇒心室細動(Vf)⇒突然死へ移行する可能性があります。
QT延長(二次性QT延長症候群)を起こしやすい患者(重度徐脈等の不整脈、うっ血性心不全等の心疾患、低カリウム血症)には慎重投与になっています。
特に甲状腺の病気では、これらに該当する可能性が非常に高く、注意を要します。
DPP-4阻害薬の副作用として、
- 消化器症状:
便秘;甲状腺機能低下症の便秘を悪化させる可能性
下痢、吐き気;甲状腺機能亢進症/バセドウ病の下痢を悪化させる可能性
腹部不快感 - 急性膵炎
- 原因不明の激しい関節痛;甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症/バセドウ病いずれでも関節痛は起きる(甲状腺と関節痛)
- ビルダグリプチン(エクア®など)で首下がり症候群を引き起こす場合があります。薬剤性筋障害(薬剤性ミオパチー)と考えられ、薬を中止すると改善。[Rinsho Shinkeigaku. 2021 May 19;61(5):329-331.]
甲状腺関連の上記以外の検査・治療 長崎甲状腺クリニック(大阪)
- 甲状腺編
- 甲状腺編 part2
- 内分泌代謝(副甲状腺/副腎/下垂体/妊娠・不妊等
も御覧ください
長崎甲状腺クリニック(大阪)とは
長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査など]による甲状腺専門クリニック。大阪府大阪市東住吉区にあります。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市,生野区,天王寺区,浪速区も近く。


