甲状腺と自律神経失調症、起立性調節障害・起立性不耐症・血管迷走神経反射・掌蹠多汗症[橋本病 バセドウ病 甲状腺エコー 長崎甲状腺クリニック 大阪]
甲状腺:専門の検査/治療/知見② 橋本病 バセドウ病 エコー検査 長崎甲状腺クリニック(大阪)
甲状腺専門の長崎甲状腺クリニック(大阪府大阪市東住吉区)院長が海外(Pub Med)・国内論文に眼を通して得た知見、院長自身が大阪市立大学 代謝内分泌内科で得た知識・経験・行った研究、日本甲状腺学会で入手した知見です。
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長崎甲状腺クリニック(大阪)は甲状腺専門クリニックです。自律神経失調症、起立性調節障害・起立性不耐症・血管迷走神経反射・掌蹠多汗症の診療を行っておりません。
Summary
自律神経失調症の起立性調節障害(OD)は思春期に多く、第二次性徴など体の劇的な変化に自律神経の調節が対応できないためおきる。日内リズムが後ろにズレて午前中に交感神経活動が活性化せず朝起きられない(甲状腺機能低下症のよう)、夜間に交感神経が活発化→夜は元気、寝付きが悪くなる(甲状腺機能亢進症/バセドウ病の睡眠相後退症候群のよう)。血管迷走神経反射は神経調節性失神(神経起因性失神)で、自律神経のバランスが著しく崩れ、脳に血液を押し上げれない状態。掌蹠多汗症は精神的緊張によりエクリン汗腺分泌が増加、甲状腺機能亢進症/バセドウ病と鑑別。
Keywords
自律神経失調症,起立性調節障害,自律神経,甲状腺機能低下症,甲状腺機能亢進症,バセドウ病,血管迷走神経反射,神経調節性失神,掌蹠多汗症,甲状腺
起立性調節障害(OD)は、
- 日内リズムが後ろにズレて午前中に交感神経活動が活性化しない→朝起きられない、いつまでもボーッとしている。起きようとすると、脳に血液を送るのが遅れるため、めまい、頭痛、動悸、失神→また寝込んでしまう。午前中は体がだるい。(甲状腺機能低下症のよう)
- 夜間に交感神経が活発化→夜は元気、寝付きが悪くなる。(甲状腺機能亢進症/バセドウ病の睡眠相後退症候群のよう)
など、甲状腺の病気に似た症状が起こります。また、朝に起きれないため、不登校、遅刻常習者のレッテルを貼られて、社会的な不利益を被る事があります。
起立性不耐症(起立後に立位の維持が困難となる病態)は、主に神経原性起立性低血圧および体位性頻脈症候群(postural tachycardia syndrome:POTS)の2つで、立位(起立)により症状が誘発されるのが特徴。
体位性頻脈症候群患者(POTS)では、横になった状態から起き上がると、心拍数が上昇し、立ちくらみや動悸などの症状で立位の維持が困難になります。再び横になると症状が軽快。体位性頻脈症候群(POTS)患者は橋本病(慢性甲状腺炎)やSLEなど自己免疫疾患の合併率が高く、自己免疫の関与が考えられます[Lupus. 2015 Nov;24(13):1364-9.]。
起立性不耐症にはアドレナリン作動性およびコリン作動性受容体抗体が関与し、コリン作動性受容体抗体がり高い程、重症度が高いとされます。[Scand Cardiovasc J. 2017 Oct;51(5):243-247.]
血管迷走神経反射は、
- 朝礼が長引いた時などにクラクラと倒れる
- 採血したら気分が悪くなる
- ワクチン接種後に失神(アナフィラキシーショックとの鑑別要)
- 電車の中で、立っていると目の前が真っ暗になり、冷や汗が出て、動悸がする
など、よく"貧血"と呼ばれるものです。別に赤血球が少ない訳では無いので、医学的に貧血ではありませんが、他に適当な呼び名が無いのも事実です。"血管迷走神経反射"では難しくて、一般の人に浸透しにくいようです。
血管迷走神経反射は自律神経失調症の1つで、その本態は自律神経が原因の神経調節性失神(神経起因性失神)です。要するに、自律神経のバランスが著しく崩れ、脳に血液を押し上げれなくなった状態です。当然、脳は酸欠になり、失神やめまい・ふらつきなどを生じて倒れます。
注意を要するのは、自律神経失調症による血管迷走神経反射と思っていても実は
- 重篤(重症)な心臓の病気(洞不全症候群、房室ブロックなど)による脳血流量低下
- 頸動脈狭窄による脳血流量低下[血管プラーク検査、大動脈炎症候群(高安動脈炎、脈なし病)]
- 小脳・椎骨脳底動脈が原因
- 甲状腺の病気による血管迷走神経反射(次項)
- 外傷性頸部動脈瘤(頚部仮性動脈瘤)による血管迷走神経反射
が隠れている事です。
甲状腺の病気による頸部圧迫で血管迷走神経反射[頸動脈洞反射(頸動脈洞症候群、頸動脈洞過敏)]
甲状腺の病変による頸部圧迫で血管迷走神経反射[頸動脈洞反射(頸動脈洞症候群、頸動脈洞過敏)]を誘発した報告があります。
リーデル甲状腺炎による頸部圧迫で血管迷走神経反射が頻発するも、緊急手術で頸部圧迫を緩和すると血管迷走神経反射も消失。(Asian J Surg. 2016 Jan;39(1):41-4.)
甲状腺癌の手術歴のある患者で頸部過伸展の姿勢により頸動脈洞反射が誘発された[Head Neck. 2013 Jan;35(1):E28-30.]。
甲状腺のう胞性腫瘍に圧迫されていた頸動脈が、甲状腺半葉切除時に急速減圧され、リバウンド的に頸動脈洞反射がおきて術中血圧・脈が変動した[Anaesthesia. 2006 Mar;61(3):282-4.]。
掌蹠多汗症は、原発性局所多汗症の1つで
- 10~20 歳の若年者に発症
- 精神的緊張により掌蹠のエクリン汗腺分泌が増加
- 多量の発汗のため、精神的な苦痛を感じる
- 湿った表皮が剥脱し、真菌・細菌感染を起こしやすい
- 甲状腺機能亢進症/バセドウ病を疑い甲状腺専門医を受診[Cutan Ocul Toxicol. 2018 Dec;37(4):344-349.]
- 褐色細胞腫、先端巨大症(成長ホルモン産生下垂体腺腫)、カルチノイド症候群、糖尿病、女性更年期障害、低血糖症、妊娠と鑑別要
- Minorテストはヨードデンプン反応による発汗定性検査。汗量が多いほど着色。
掌蹠多汗症の治療は、
- イオントフォレーシス;H+が汗孔部を障害して発汗を抑制
- 塩化アルミニウム溶液
- A 型ボツリヌス毒素製剤の局注療法
- 交感神経遮断術
[An Bras Dermatol. 2016 Nov-Dec; 91(6): 716–725.]
甲状腺関連の上記以外の検査・治療 長崎甲状腺クリニック(大阪)
長崎甲状腺クリニック(大阪)とは
長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査など]による甲状腺専門クリニック。大阪府大阪市東住吉区にあります。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,天王寺区,東大阪市,生野区,浪速区にも近い。