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甲状腺の手術合併症:陰圧性肺水腫・両側反回神経麻痺・甲状腺摘出後出血[専門医 橋本病 バセドウ病 超音波(エコー)検査の長崎甲状腺クリニック(大阪)]

甲状腺:専門の検査/治療/知見② 橋本病 バセドウ病 専門医 長崎甲状腺クリニック(大阪)

両側反回神経麻痺

甲状腺の、長崎甲状腺クリニック(大阪市東住吉区)院長が海外論文に眼を通して得たもの、院長自身が大阪市立大学 代謝内分泌内科で行った研究、甲状腺学会で入手した知見です。

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長崎甲状腺クリニック(大阪)は、内科系甲状腺専門クリニックです。甲状腺外科は行っておりません。

Summary

TSH10以上の甲状腺機能低下症は麻酔効き過ぎる危険性。甲状腺の重症手術合併症は陰圧性肺水腫(再挿管し陽圧換気(PEEP))、両側反回神経麻痺(甲状腺癌がすでに浸潤、残りの反回神経を損傷、呼吸困難に)、甲状腺摘出後出血(エコー検査で血腫を確認、速やかに頚部創を開放し、血腫を除去することで気道狭窄は改善)。熟練した甲状腺専門外科医が手術しても0.2-0.4%に永続性反回神経麻痺おこり誤嚥、高齢時誤嚥性肺炎の危険あり。上喉頭神経外枝を損傷すると、輪状甲状筋が麻痺し、高い声が出にくくなる。照射洗浄血小板の輸血は甲状腺機能低下症で高マグネシウム血症の危険。

Keywords

甲状腺,手術,合併症,陰圧性肺水腫,甲状腺癌,両側反回神経麻痺,甲状腺摘出後出血,エコー,輸血,甲状腺機能低下症

甲状腺機能低下症で麻酔効き過ぎ

  1. 甲状腺機能低下症で麻酔効き過ぎ

術創部(手術の跡)の痛み、違和感

反回神経麻痺と上喉頭神経麻痺

  1. 反回神経麻痺
  2. 上喉頭神経麻痺

気道閉塞(窒息)

  1. 甲状腺摘出術後の陰圧性肺水腫

術後肺合併症

  1. 術後肺合併症

甲状腺癌

  1. 甲状腺手術後の救急:甲状腺摘出後出血

輸血と甲状腺

  1. 輸血と甲状腺

下肢静脈血栓症

  1. 下肢静脈血栓症

甲状腺機能低下症で麻酔効き過ぎ

常識的な麻酔医なら、術前の麻酔評価で、TSH10以上の甲状腺機能低下症であれば麻酔効き過ぎを懸念し、TSH10未満に改善するまで手術を待機します。

止むを得ない緊急手術なら、麻酔効き過ぎる危険性を、十分、患者本人・家族に納得してもらわねばなりません。

術創部(手術の跡)の痛み、違和感

メスで切った跡なので、当然、痛み、違和感はあります。痛みは徐々に消えていきます。しかし、皮膚の切り跡・甲状腺を剥がした後の周囲組織・頚筋の炎症が完全に消えて固まるのに、10年は掛かるため、違和感は何年も続きます。固まった後は、癒着を起こすため、引きつれによる違和感が生じる事があります。

甲状腺全摘出後数週 超音波(エコー)画像

甲状腺全摘出後数週 超音波(エコー)画像

甲状腺全摘出後数週 超音波(エコー)画像

甲状腺全摘出後数週 超音波(エコー)画像

甲状腺全摘出後 数カ月 超音波(エコー)画像

甲状腺全摘出後 数カ月 超音波(エコー)画像

甲状腺全摘出後数年 超音波(エコー)画像

甲状腺全摘出後数年 超音波(エコー)画像

反回神経麻痺

術後反回神経麻痺

どんな熟練した甲状腺専門外科医が手術しても、0.2-0.4%に永続性反回神経麻痺の合併症がおこると言われます。反回神経自体の走行に個人差があり、また、巨大な甲状腺、変形した甲状腺、甲状腺癌に巻き込まれた反回神経等、反回神経を温存するのは大変な様です。

反回神経麻痺で最大の問題は誤嚥です。甲状腺癌の術中に片側反回神経を切断し1年以上経過した19例中、

  1. 誤嚥が無いもの31.5%
  2. 術後のみ水様物の誤嚥があつたが消失したもの26.3%
  3. 術後より誤嚥が続いているもの26.3%

との報告があります(日外会誌82: 1307-1313, 1981.)。

声帯麻痺(反回神経麻痺)

数十年、生涯で考えるなら、反回神経に問題なくとも誤嚥を起こし易くなる高齢時が要注意です。誤嚥性肺炎・びまん性誤嚥性細気管支炎の危険があります(誤嚥性肺炎・びまん性誤嚥性細気管支炎)。

甲状腺がんで両側反回神経麻痺

甲状腺がんで両側反回神経麻痺
  1. 甲状腺癌が、左右両側の反回神経に浸潤
  2. 甲状腺癌が、片側の反回神経に浸潤)+甲状腺全摘時、残りの反回神経を損傷
  3. 甲状腺癌が、片側の反回神経に浸潤)+甲状腺全摘後、131-I内照射により残りの反回神経を損傷

すると、左右両方の声帯が麻痺し全く声が出なくなり、呼吸困難をおこします。気管切開せねばなりません。

右側非反回下喉頭神経(NRILN)

右側非反回下喉頭神経(NRILN)

右側の非反回下喉頭神経(NRILN)は、反回する事無く、下喉頭神経が直接迷走神経から出ており、右鎖骨下動脈起始異常(変な場所から右鎖骨下動脈が枝分かれしている)が原因とされます(0.3-2.0%)。左側の非反回下喉頭神経(NRILN)は、さらに稀です。(日耳鼻 116: 793―801,2013)

(図;March 2017PeerJ 5(3)より改変)

右鎖骨下動脈起始異常

術前に右鎖骨下動脈起始異常を3D-CT、MRAで見つければ、右側の非反回下喉頭神経(NRILN)の存在が疑われます。(図;Radiopaediaより改変)

神経刺激モニター[Nerve Integrity Monitor (NIM)]は、反回神経の位置確認に有用

神経刺激モニター

神経刺激モニター[Nerve Integrity Monitor (NIM)]は、反回神経の走行を確認できるため、反回神経の温存が容易になっているようです(ただ、癌細胞が反回神経に広がっていれば、場所がわかっても温存できませんが・・)。同時に、上喉頭神経外枝の温存手技も報告され、 手術時の甲状腺の牽引で生じるTraction injuryの予見にも有用との事です。

(第61回 日本甲状腺学会 外科系シンポジウム SSY-1 手術機器の発達に伴う甲状腺手術手技のパラダイムシフト:バセドウ病を中心に)

写真、Inomed Medizintechnik製の神経刺激モニター

上喉頭神経麻痺

甲状腺の手術中に上喉頭神経外枝を損傷すると、輪状甲状筋が麻痺し、高い声が出にくくなります。音程も取れなくなり、歌唱の障害も出るとされます(Trans Am Acad Opthalmol  Otolaryngol 84: 78-89, 1977. )。上喉頭神経外枝の走 行には個体差があるため、避けるのは困難な様です。

上喉頭神経麻痺

甲状腺の手術中に上喉頭神経外枝を損傷すると、輪状甲状筋が麻痺し、高い声が出にくくなります。音程も取れなくなり、歌唱の障害も出るとされます(Trans Am Acad Opthalmol  Otolaryngol 84: 78-89, 1977. )。上喉頭神経外枝の走 行には個体差があるため、避けるのは困難な様です。

甲状腺摘出術後の陰圧性肺水腫(negative pressure pulmonary edema, NPPE)

陰圧性肺水腫 胸Xp

急に上気道が閉塞すると、吸気努力により胸腔内圧は著明に低下→肺毛細管周囲圧低下→肺毛細管透過性亢進→陰圧性肺水腫(negative pressure pulmonary edema, NPPE)が生じます。高い胸腔内圧が原因のため呼吸関連筋が発達した若い男性に生じやすい。

甲状腺摘出術では

  1. 巨大甲状腺腫などによる挿管困難(喉頭浮腫
  2. 気管周囲組織の剥離操作(喉頭浮腫や両側反回神経麻痺)

によって気管チューブ抜去後に気管が虚脱状態になり、発症するとされます(Can J Anaesth. 2002;49:215.)[内分泌甲状腺外会誌 33(3):189-193,2016(右写真含む)]。

ICU入室直後から喘鳴・努力様呼吸を認め、胸部X線は両側肺野の透過性が低下し急性肺水腫の像。

治療は、気管チューブを再挿管し、終末呼気陽圧を併用した陽圧換気(PEEP)を行います。

雪崩などによる窒息で陰圧性肺水腫

雪崩などの窒息による陰圧性肺水腫の治療に、鼻カニューラを用いたネーザルハイフローという高流量酸素供給システム(酸素濃度21〜100%,流量は最大60L)があります。自発呼吸が保たれていれば、挿管しなくてもPEEPの代わりになります。

術後肺合併症

術後肺合併症には、肺炎、無気肺、胸水などがあります。

無気肺は、術後、麻酔が効いていて人工呼吸中にも生じます。PaO2が吸入酸素濃度100%にもかかわらず低下し、呼吸性アシドーシス。ポータブル胸部エックス線で無気肺と分かります。処置は。気管支内視鏡による吸引。

甲状腺手術後の救急:甲状腺摘出後出血

甲状腺摘出後出血

甲状腺摘出後出血

甲状腺摘出手術を終え、病棟に帰室後数時間して急速な頚部腫大と呼吸困難おこれば、甲状腺摘出後出血です。

  1. 頚部の圧迫止血は気道狭窄を悪化させるので禁
  2. 経口あるいは経鼻気管挿管は、ベッド上で頸部が腫れた状態では非常に困難。何度か挿管を試みることで気道浮腫が生じ呼吸困難が悪化
  3. 速やかに頚部創を開放し、血腫を除去することで気道狭窄は改善

甲状腺摘出後出血でも、ゆっくり起こり翌日に頚部腫大する場合もあるので注意を要する。術後の浮腫と誤診すると窒息死するので、超音波(エコー)検査で血腫確認・傷口を一部開けて出血を確認する必要あり。

甲状腺摘出後出血の予防にVessel sealing system(LigaSureTM)

Vessel sealing system(LigaSureTM)

手術の際にバイポーラ電気凝固装置(いわゆる電気メス)のVessel sealing system(自動血管閉鎖装置、LigaSureTM)を用い、血管シー ル(小血管の断端を切ると同時に固めてしまう)すれば、手術中の出血も、甲状腺摘出後出血も防げる確率が高くなります。

輸血と甲状腺

照射洗浄血小板-LR「日赤」の使用に際し、高マグネシウム血症、甲状腺機能低下症、腎不全患者には慎重投与する事になっています。マグネシウム塩を含むため、腎不全患者ではマグネシウムを排泄できず高マグネシウム血症おこす危険。

下肢静脈血栓症

甲状腺の手術であっても、広範囲に浸潤した甲状腺がんを摘出する手術など、長時間の手術中や手術後に、下肢静脈血栓症おこす事があります。血栓が肺に飛び、肺動脈が詰まる肺血栓塞栓症は突然死の原因となります。医療機関によっては、下肢静脈血栓予防のため、弾性ストッキングを使用する所もあります。

甲状腺関連の上記以外の検査・治療    長崎甲状腺クリニック(大阪)

長崎甲状腺クリニック(大阪)とは

長崎甲状腺クリニック(大阪)は甲状腺(橋本病,バセドウ病,甲状腺エコー等)専門医・動脈硬化・内分泌の大阪市東住吉区のクリニック。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,天王寺区,東大阪市,生野区も近く。

長崎甲状腺クリニック(大阪)

甲状腺(橋本病,バセドウ病,甲状腺エコー等)専門医・動脈硬化・内分泌・糖尿病の長崎クリニック(大阪市東住吉区)(近く に平野区、住吉区、阿倍野区、松原市)
長崎甲状腺クリニック(大阪)は甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査等]・動脈硬化・内分泌の大阪市東住吉区のクリニック。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市近く

住所

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大阪市東住吉区鷹合2-1-16

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