甲状腺と原発性胆汁性胆管炎(PBC:原発性胆汁性肝硬変),自己免疫性胆管炎[橋本病 バセドウ病 長崎甲状腺クリニック 大阪]
甲状腺:専門の検査/治療/知見① 橋本病 バセドウ病 甲状腺エコー 長崎甲状腺クリニック大阪
甲状腺専門の長崎甲状腺クリニック(大阪府大阪市東住吉区)院長が海外・国内論文に眼を通して得た知見、院長自身が大阪市立大学(現、大阪公立大学) 代謝内分泌内科(内分泌骨リ科)で得た知識・経験・行った研究、日本甲状腺学会 年次学術集会で入手した知見です。
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甲状腺と肝障害(自己免疫性肝炎,原発性胆汁性肝硬変)・胆石・薬剤性肝障害・肝血管腫
厚生労働省の令和6(2024)年度地域保健・健康増進事業報告の概況によると、健康診査で見つかる肝疾患(疑いを含む)の割合は14.3%(男性17.6%、女性11.4%)。ただでさえ、肝臓に問題がある人は多いので、甲状腺との関連が紛らわしい場合があります。
Summary
原発性胆汁性胆管炎(PBC:原発性胆汁性肝硬変)は①自己免疫性甲状腺疾患(橋本病/甲状腺機能低下症、バセドウ病/甲状腺機能亢進症)合併率は高い。多結節性甲状腺種、甲状腺癌も合併。甲状腺疾患はPBCの進行に影響しない②皮膚掻痒感・黄疸・高コレステロール血症など甲状腺機能低下症に重なる症状・検査所見③血液中の抗ミトコンドリアM2抗体、抗平滑筋抗体(ASMA)陽性④シェ-グレン症候群や全身性硬化症(SSc)も合併。自己免疫性胆管炎(AIC)は抗ミトコンドリア抗体陰性、ANAや平滑筋抗体陽性。
Keywords
原発性胆汁性肝硬変,原発性胆汁性胆管炎,PBC,甲状腺,橋本病,甲状腺機能低下症,バセドウ病,甲状腺機能亢進症,抗ミトコンドリアM2抗体,抗平滑筋抗体
原発性胆汁性胆管炎(Primary biliary cholangitis:PBC:原発性胆汁性肝硬変)と自己免疫性甲状腺疾患の合併率は高く、
- 橋本病/甲状腺機能低下症における肝障害の約20%(特に甲状腺機能低下症で陽性率が高い)
- バセドウ病/甲状腺機能亢進症における肝障害の約8%
原発性胆汁性胆管炎(PBC:原発性胆汁性肝硬変)では血液中の抗ミトコンドリアM2抗体が陽性になります。
橋本病(慢性甲状腺炎)/バセドウ病で、甲状腺機能は正常なのに肝臓の数値が高い方は、抗ミトコンドリアM2抗体を調べる必要があります。
※抗ミトコンドリアM2抗体は原発性胆汁性胆管炎(PBC:原発性胆汁性肝硬変)に特異性が高い。非M2型の抗ミトコンドリア抗体は特異性が低く、梅毒や慢性活動性肝炎・薬剤性肝炎などでも陽性になります。
抗ミトコンドリアM2抗体陽性の橋本病/バセドウ病患者では、他の自己抗体も陽性になり、
- 抗CCP抗体と抗SS-A 抗体がそれぞれ約13%
- 抗平滑筋抗体 (ASMA)と抗セントロメア抗体がそれぞれ約11%
(第55回 日本甲状腺学会 P2-10-11 甲状腺疾患における抗ミトコンドリアM2 抗体陽性例の検討)
逆に、原発性胆汁性胆管炎(PBC:原発性胆汁性肝硬変) の側から見ると
- 甲状腺疾患の合併は約16%
- 橋本病(慢性甲状腺炎)の合併は約10%
- 甲状腺機能亢進症/バセドウ病の合併は約2%
- 多結節性甲状腺種の合併は約2%
- 甲状腺癌の合併は約1%
- その他、甲状腺疾患の合併は約1%
です。
また、甲状腺疾患が原発性胆汁性胆管炎(PBC:原発性胆汁性肝硬変)の進行に影響する訳ではありません(Am J Gastroenterol. 2017 Jan;112(1):114-119.)。
初発・再発の甲状腺機能亢進症/バセドウ病では、
- 甲状腺ホルモンの肝細胞毒性による肝機能障害が高頻度に認められる
- 抗甲状腺薬[MMI(メルカゾール)、PTU(プロパジール、チウラジール)]で治療開始すれば、①甲状腺ホルモンの急激な低下による代謝変動、②抗甲状腺薬の副作用で肝酵素が上昇する
ため(甲状腺機能亢進症/バセドウ病と肝障害)、普通は原発性胆汁性胆管炎(PBC:原発性胆汁性肝硬変)の合併を考えません。
過去の報告では、
-
治療開始後、AST/ALTなどが正常化してもALP高値は持続。ALPアイソザイムは骨由来(骨修復によるALP3型、BAP)でなく、主に肝胆由来です
(Jpn. J. Clin. Immun., 17 (5): 611-616, 1994.)[Clin J Gastroenterol. 2016 Apr;9(2):99-103.]
- バセドウ病、Hurthle細胞腺腫、原発性胆汁性肝硬変の合併[Turk J Gastroenterol. 2007 Sep;18(3):198-200.]
- 原発性胆汁性胆管炎(PBC:原発性胆汁性肝硬変)-自己免疫性肝炎(AIH)のオーバーラップ症候群と免疫性血小板減少性紫斑症(ITP)およびバセドウ病の合併[Intern Med. 2015;54(16):2013-6.
甲状腺以外の自己免疫疾患で見ると、シェ-グレン症候群は原発性胆汁性胆管炎(PBC:原発性胆汁性肝硬変)の最も頻度が高い肝外症状です。合併率は3.5%-73%と報告によりバラツキがあります。
全身性硬化症(SSc)の合併率は1.4%-12.3%とされます。
(Gut Liver. 2017 Nov 15;11(6):771-780.)
原発性胆汁性胆管炎(PBC:原発性胆汁性肝硬変)は
- 中高年女性に多い
- 無症状で見つかるものが2/3
- 1/3は皮膚掻痒感(黄疸より早く出る)・黄疸・高コレステロール血症を呈し、甲状腺機能低下症に重なる症状・検査所見
- 胆汁うっ滞で腸に胆汁が流れにくいために、ビタミンD吸収障害・骨粗鬆症が進行
- 抗ミトコンドリアM2抗体は心筋障害・心房性不整脈[心房頻脈・心房細動(Af)]との関連が報告されている[Eur Heart J Case Rep. 2023 Jun 28;7(8):ytad292.](第113回日本内科学会 P238 抗ミトコンドリアM2抗体と心房性不整脈の関連について)
- 抗平滑筋抗体(ASMA)は原発性胆汁性胆管炎(PBC:原発性胆汁性肝硬変)の40%で陽性
- IgMも陽性
- 抗核抗体gp210は予後予測因子とされます[J Gastroenterol Hepatol. 1998 Mar;13(3):257-65.]
自己免疫性胆管炎(AIC)は、主に中年女性に発生し、原発性胆汁性肝硬変・胆管炎(PBC)に共通する臨床症状、生化学的異常、病理学的変化を有する慢性胆汁うっ滞性疾患です。ただし、血清抗ミトコンドリア抗体は陰性であり、ANAおよび/または平滑筋抗体の陽性率は高い。[Zhonghua Gan Zang Bing Za Zhi. 2019 May 20;27(5):393-396.]
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長崎甲状腺クリニック(大阪)とは
長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査など]による甲状腺専門クリニック。大阪府大阪市東住吉区にあります。平野区、住吉区、阿倍野区、住之江区、松原市、生野区、天王寺区も近く、堺市、羽曳野市、八尾市、東大阪市、生野区、浪速区も圏内。




