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甲状腺と低HDLコレステロール血症/中性脂肪低値・HDL機能不全、高トリグリセリド血症[橋本病 バセドウ病 甲状腺エコー検査 長崎甲状腺クリニック(大阪)]

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動脈硬化:専門の検査治療/知見[橋本病 バセドウ病 甲状腺エコー 長崎甲状腺クリニック大阪]

甲状腺専門長崎甲状腺クリニック(大阪府大阪市東住吉区)院長が海外・国内論文に眼を通して得た知見、院長自身が大阪市立大学 代謝内分泌内科で得た知識・経験・行った研究、甲状腺学会で入手した知見です。

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甲状腺機能低下症/潜在性甲状腺機能低下症/橋本病では動脈硬化が進行し、狭心症/心筋梗塞の発症率が上がります。甲状腺ホルモン剤[レボチロキシン(チラーヂンS)]で治療すれば、血管年齢など動脈硬化が改善することを、私、長崎俊樹が医学界で初めて証明しました。

甲状腺疾患における動脈硬化は、長年にわたる私、長崎俊樹の研究テーマです。

summary

善玉コレステロールHDLが40(mg/dl)以下は低HDLコレステロール血症動脈硬化の危険因子。甲状腺機能亢進症/バセドウ病で代謝が異常亢進、脂肪分解活発で低LDLコレステロール血症になるが、必ずしも低HDLコレステロール血症にならない。高トリグリセリド血症(高TG血症、高中性脂肪血症)は中性脂肪が150 mg/dL以上の高脂血症動脈硬化の危険因子。潜在性甲状腺機能低下症女性で高トリグリセリド(中性脂肪)血症との報告も。甲状腺機能亢進症/バセドウ病は中性脂肪分解が活発で、中性脂肪低値から見つかる事あるが、必ずしも低下せず、高トリグリセライド血症の事も。

Keywords

HDL,低HDLコレステロール,動脈硬化,甲状腺機能亢進症,バセドウ病,低LDLコレステロール,中性脂肪,高トリグリセリド血症,潜在性甲状腺機能低下症,甲状腺

甲状腺と低HDLコレステロール血症・HDL機能不全

低HDLコレステロール血症とは

善玉コレステロールのHDLコレステロール(High-density lipoprotein コレステロール)は

  1. コレステロール逆転送作用(血管内壁の動脈硬化をおこすコレステロールを引き抜き、肝臓まで運ぶ)
  2. 抗酸化作用(抗酸化酵素パラオキソナーゼ1)
  3. 抗炎症作用

があります。善玉コレステロールのHDLコレステロールが40(mg/dl)以下は、低HDLコレステロール血症と診断されます。低HDLコレステロール血症は動脈硬化の危険因子です。HDLコレステロールの重篤な低下は20 mg/dL 未満と定義されます。原因は

  1. アポAI変異症
  2. ABCA1遺伝子変異:タンジール(Tangier)病はコレステロールの細胞膜輸送の異常
  3. LCAT(Lecithin cholesterol acyltransferase)遺伝子変異:コレステロールエステル転送障害
  4. 高トリグリセリド血症(高TG血症)に合併(最も頻度が高い)

です。糖尿病/炎症(炎症酵素MPO;ミエロペルオキシダーゼなどによる)では、善玉コレステロールHDLの数は変わらなくても、内部構造が変わり善玉機能が損なわれます。

低HDLコレステロール血症は、甲状腺機能亢進症/バセドウ病の事も

甲状腺機能亢進症/バセドウ病では、代謝の異常亢進により、脂肪分解も活発で、低HDLコレステロール血症になる事がありますが、必ずしも低下しません。しかし、悪玉コレステロールLDLは甲状腺ホルモンの作用により過剰分解され、低値する事が多いです(J Lipid Res. 1981 Feb;22(2):323-38.)。

このHDL/LDLコレステロール比が、甲状腺機能亢進症/バセドウ病の病態にどのような意味を持つか定かではありません。

甲状腺機能亢進症/バセドウ病を治療し、甲状腺機能が正常化すれば、本来のHDL/LDLコレステロール値に戻ります。即ち、LDLコレステロールは増加し、血清甲状腺ホルモン(FT3、FT4)値と逆相関しますが、HDLコレステロールの変化は一定しなかったそうです。(J Clin Lipidol. 2017 Nov - Dec;11(6):1347-1353.)(第61回 日本甲状腺学会 O24-5 甲状腺機能異常症の治療による血清脂質の変化 )

抗LCAT 抗体

蛋白尿(あるいはネフローゼ症候群)と貧血と同時にHDLコレステロールが急激低下し、高トリグリセリド血症(高TG血症)、Lecithin cholesterol acyltransferase(LCAT)活性低下おこす症例が数件報告されています。蛋白尿と貧血を認めない症例もあります。甲状腺機能は正常、抗LCAT 抗体が証明された症例もあり(J Am Soc Nephrol. 2013 Jul 31; 24(8): 1305–1312.)。後天的に、一過性の抗LCAT 抗体が出現するのが原因と考えられています。(第56回 日本甲状腺学会 P1-064 甲状腺機能検査等に異常なく、急激にHDL-C 20 mg/dL 未満へ低下して7 年後に自然寛解した低脂血症の1 例)

高トリグリセリド血症(高TG血症、高中性脂肪血症)

高トリグリセリド血症(高TG血症、高中性脂肪血症)の原因

高トリグリセリド血症(高TG血症、高中性脂肪血症)
高トリグリセリド血症(高TG血症、高中性脂肪血症)で動脈硬化

高トリグリセリド血症(高TG血症、高中性脂肪血症)は、血液中に中性脂肪(トリグリセリド)が150 mg/dL以上の高脂血症です。動脈硬化の危険因子で、極端に高いと急性膵炎をおこします。

高トリグリセリド血症(高TG血症、高中性脂肪血症)の原因として、

  1. 高カロリー・高脂肪食
  2. 遺伝性:原発性高カイロミクロン血症(家族性リポ蛋白リパーゼ欠損症、アポ白CⅡ欠損症)
  3. ネフローゼ症候群:血液中のアルブミン濃度が減少すると、肝臓のアルブミン合成が増大し、ついでに低比重リポ蛋白(LDL)および超低比重リポ蛋白(VLDL)生成も増加。また動脈硬化抑制因子の高比重リポ蛋白(HDL)が尿中へ漏れ出て、血液中のHDL濃度は減少
  4. 慢性腎不全で脂質分解の低下による高脂血症。
  5. 高用量のサイアザイド系利尿薬/ループ利尿薬は,トリグリセライド、LDLコレステロールを上昇。
  6. β遮断薬では、血清トリグリセライド上昇、HDLコレステロール低下が報告されています

家族性リポ蛋白リパーゼ(LPL)欠損症

家族性リポ蛋白リパーゼ(LPL)欠損症のホモ接合体は、血中の中性脂肪(トリグリセリド)が1000 mg/dL以上の高脂血症になります。出生時より中性脂肪(トリグリセリド)が高く、膵炎を繰り返します。

抗GPIHBP1抗体による自己免疫性の高トリグリセリド血症(高TG血症、高中性脂肪血症)

GPIHBP1は、血管内皮上でリポ蛋白リパーゼ(LPL)と結合して存在する血管内皮細胞アンカー蛋白です。

GPIHBP1は、リポ蛋白リパーゼ(LPL)と共役して働きます。食事に伴い腸管で産生され、中性脂肪(トリグリセリド)を多く含むリポ蛋白[カイロミクロンや超低比重リポ蛋白(VLDL)]を中間代謝産物(レムナントリポ蛋白)に代謝分解します。GPIHBP1に障害が起きるとリポ蛋白リパーゼ(LPL)の機能が低下し、分解されないカイロミクロンやVLDLが血液中に増え、高トリグリセリド血症(高TG血症、高中性脂肪血症)になります。

抗GPIHBP1抗体による自己免疫性の高トリグリセリド血症(高TG血症、高中性脂肪血症)

抗GPIHBP1抗体による自己免疫性の高トリグリセリド血症(高TG血症、高中性脂肪血症)が報告されています。全身性エリテマトーデス(SLE)の合併が多いとされます。

(N Engl J Med. 2017 Apr 27;376(17):1647-1658.)

九州にある二田哲博クリニックが抗GPIHBP1抗体による自己免疫性の高トリグリセリド血症(高TG血症、高中性脂肪血症)抗を合併した慢性甲状腺炎(橋本病)のケースを報告しています。(第63回 日本甲状腺学会 C6-13 抗GPIHBP1自己抗体による高カイロミクロン血症を合併した慢性甲状腺炎の一例)

潜在性甲状腺機能低下症と高トリグリセリド血症(高TG血症)

潜在性甲状腺機能低下症は、「血中甲状腺ホルモン値が正常かつTSH値が高値である状態」で、軽度の甲状腺機能低下症と言えます。わかり易く言えば、TSHが上昇して甲状腺を刺激するだけで、なんとか甲状腺ホルモンを正常範囲内に維持できる状態です。

潜在性甲状腺機能低下症の女性は、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)よりもトリグリセリド(TG、中性脂肪)上昇が有意に起きる[高トリグリセリド血症(高TG血症、高中性脂肪血症)]との報告があります。(第58回 日本甲状腺学会 P236 潜在性甲状腺機能低下症は女性において高TG血症の危険因子である)

中性脂肪(トリグリセリド)が低値

中性脂肪(トリグリセリド)が低値の原因として、

  1. 栄養不足
  2. 体質的(遺伝的)
  3. 採血を意識して、過度の食事制限をした場合
  4. 甲状腺機能亢進症/バセドウ病:代謝の異常亢進により、中性脂肪分解が活発に

があります。中性脂肪(トリグリセリド)低値から甲状腺機能亢進症/バセドウ病が見つかる方が数多くいます。しかし、必ずしも低下せず、逆に中性脂肪(トリグリセリド)高値の事があります(高トリグリセライド血症)。

甲状腺機能亢進症/バセドウ病を治療し、甲状腺機能が正常化すれば、LDLコレステロールは増加し、血清甲状腺ホルモン(FT3、FT4)値と逆相関します(J Lipid Res. 1981 Feb;22(2):323-38.)が、

  1. 中性脂肪の変化は一定しなかった。(第61回 日本甲状腺学会 O24-5 甲状腺機能異常症の治療による血清脂質の変化)
  2. 中性脂肪に有意な変化は認めまないが、増加傾向だった。(J Clin Endocrinol Metab. 2020 Dec 1;105(12):dgaa672.)
  3. 中性脂肪は有意に増加した。(J Clin Endocrinol Metab. 2015 Oct;100(10):3800-5.) 
  4. アポA、アポBは有意に増加した。(Horm Metab Res. 1998 Apr;30(4):217-21.)

中性脂肪(トリグリセリド)を低下させるフィブラート系薬剤

血中の中性脂肪(トリグリセリド)を低下させる薬剤は、ペルオキシソーム増殖剤であるフィブラート系薬剤

  1. ペマフィブラート(パルモディア®)
  2. フェノフィブラート(リピディル®);中等度以上の腎機能障害に対して添付文書上禁忌です。
  3. ベザフィブラート(ベザトールSR®)

などです。

フィブラート系薬剤は、主に肝臓のペルオキシソーム増殖剤活性化レセプターαサブタイプ(peroxisome proliferator-activated receptor α:PPARα)を活性化して、脂質代謝に関わる遺伝子群の発現を選択的に調節し、中性脂肪(トリグリセリド)合成を低下させます。

具体的には、PPARαの活性化により、

  1. LPL産生増加、脂肪酸のβ酸化亢進、肝臓での中性脂肪(トリグリセリド)合成を低下
  2. アポA-Ⅰ、A-Ⅱの産生増加→善玉HDLコレステロール増加
  3. 動脈硬化を抑制するアディポネクチンを上昇

しかし、

  1. 中性脂肪(トリグリセリド)はコレステロールに比べ食事運動療法で下がり易い
  2. 特に腎機能障害があると横紋筋融解症を起こす危険性が高くなる

ため、長崎甲状腺クリニック(大阪)ではフィブラートをあまり使用しません。

フィブラート系薬剤は、「血清クレアチニン値が2.5mg/dL以上又はクレアチニンクリアランスが40mL/min未満の腎機能障害のある患者」では、横紋筋融解症を引き起こす危険があるため禁忌となっています。

コレステロールと中性脂肪(トリグリセリド)両方に投薬が必要な場合、前述のコレステロール合成阻害薬スタチン[HMG-CoA還元酵素阻害薬]とフィブラートの併用を余儀なくされます。両者の併用は、単独投与に比べて横紋筋融解症を引き起こす危険が増すため、以前は禁忌になっていました。

ところが、2018年10月に併用禁忌は解除され、「治療上、やむを得ないと判断される場合にのみ」併用可能になりました(厚労省が許可したからと言って横紋筋融解症の危険が減った訳ではありません)。また、「やむを得ず併用する場合には、定期的な腎機能検査を行う。横紋筋融解症を疑わせるような自覚症状(筋肉痛、脱力感)があれば、ただちに投薬を中止するよう患者に説明する。」のが条件です。

フィブラート系薬剤の思いがけない作用

京都大学が非常に興味深い報告をしています。難病の甲状腺ホルモン不応症(レフェトフ症候群)(β型甲状腺ホルモン受容体(TRβ)遺伝子にG347R変異)にベザフィブラートを投与したら、

TSH不適切分泌症候群(SITSH)[甲状腺ホルモンの数値(FT3, FT4)が上昇しているのにも関わらず、 脳下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)が抑制されない状態]が解除

→さらには重度の甲状腺機能低下症(FT3 3.05 pg/mL、FT4 0.62 ng/dL、TSH 92.19 μIU/mL)

→ベザフィブラートを中止してTSH不適切分泌症候群(SITSH)に戻る

[日本内分泌学会雑誌 2020;96(1):252](第63回 日本甲状腺学会 CR1-2 RTHβにおけるベザフィブラートによる甲状腺機能低下症:臨床的検討)

甲状腺ホルモンでPPARαが活性化される報告がありますが(Biofactors. 2016 Nov 12;42(6):638-646.)、PPARαを阻害して薬剤性の甲状腺機能低下症が起こるという報告はありません。甲状腺ホルモン受容体(TRβ)に異常があるから起こる現象なのでしょうか?筆者にも分かりません。

甲状腺関連の上記以外の検査・治療   長崎甲状腺クリニック(大阪)

長崎甲状腺クリニック(大阪)とは

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長崎甲状腺クリニック(大阪)


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