甲状腺と歯科治療・抜歯・顎関節症[日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医 橋本病 バセドウ病 甲状腺超音波(エコー)検査 長崎甲状腺クリニック 大阪]
甲状腺:専門の検査/治療/知見② 橋本病 バセドウ病 甲状腺エコー 長崎甲状腺クリニック大阪
甲状腺専門の長崎甲状腺クリニック(大阪府大阪市東住吉区)院長が海外(Pub Med)・国内論文に眼を通して得た知見、院長自身が大阪市立大学 代謝内分泌内科で得た知識・経験・行った研究、日本甲状腺学会で入手した知見です。
長崎甲状腺クリニック(大阪)以外の写真・図表はPubMed等で学術目的にて使用可能なもの、public health目的で官公庁・非営利団体等が公表したものを一部改変しています。引用元に感謝いたします。
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甲状腺編 では収録しきれない専門の検査/治療です。
Summary
甲状腺機能が正常なら(FT3 and/or FT4、TSHが正常範囲)歯科治療・抜歯を受けて大丈夫。甲状腺機能亢進症/バセドウ病で未治療、治療途中、服薬自己中断など甲状腺ホルモンが正常でない時に抜歯、インプラント手術など高侵襲の手術ストレスが加わると致死的な甲状腺クリーゼになる危険あり。甲状腺機能低下症/橋本病で甲状腺ホルモン濃度が正常範囲に到達していないと①全身麻酔効き過ぎ②免疫不全で歯周病菌・口腔内細菌が傷口から血液中に入り⇒急性化膿性甲状腺炎・全身膿瘍・感染性心内膜炎。甲状腺機能低下症/橋本病では顎関節症の有病率が高く、矯正歯科治療に反応しない。
Keywords
甲状腺,歯科,抜歯,甲状腺機能亢進症,バセドウ病,インプラント,甲状腺機能低下症,橋本病,顎関節症,矯正歯科
甲状腺機能低下症/橋本病であれ、甲状腺機能亢進症/バセドウ病であれ、甲状腺機能が正常にコンントロールされていれば(FT3 and/or FT4、TSHが正常範囲に収まっている)、歯科治療・抜歯を受けて大丈夫です。
※甲状腺以外の病気については、分かりません。
※キシロカインアレルギーなどアレルギー反応については分かりません。
甲状腺機能亢進症/バセドウ病で未治療(見つかっていない)、治療途中、服薬自己中断など甲状腺ホルモンが正常でない時に抜歯、インプラント手術など高侵襲の手術ストレスが加わると、全身の臓器が過剰な甲状腺ホルモンと炎症に耐えられなくなり、生命に危険が及ぶ危険性があります。このような状態は甲状腺クリーゼと呼ばれ致死率が十数%です。
同じく、甲状腺ホルモンが正常でない甲状腺機能亢進症/バセドウ病で、甲状腺ホルモンと同じ交感神経刺激作用を持つエピネフリンの局所麻酔は、甲状腺機能亢進症/バセドウ病を悪化させる可能性があります。
治療により甲状腺ホルモンが正常化し、安定している甲状腺機能亢進症/バセドウ病では、抜歯、インプラント手術、エピネフリンの局所麻酔も問題ない場合がほとんどです。甲状腺機能亢進症/バセドウ病さへ安定していれば、心房細動(Af)を合併してても、エピネフリンの局所麻酔程度なら循環動態にほとんど影響しません。
リドカイン(キシロカイン)の局所麻酔は、甲状腺機能亢進症には原則禁忌です。キシロカインアレルギーがあれば、間違いなく禁忌です。おそらく、頻脈・不整脈に干渉するのが理由だと思われます。代用品としてプロピトカイン、メピバカインがあるなら、そちらを使った方が良い。
顎の手術など全身麻酔が必要な手術は、甲状腺ホルモンが麻酔薬の代謝分解に関与します。
甲状腺機能低下症が見逃されたり、甲状腺機能低下症と診断されても患者自身が治療を放棄、あるいは、甲状腺ホルモン剤(チラーヂンS)補充を開始して間がなく、血中甲状腺ホルモン濃度が正常範囲に到達していない状態では、麻酔薬が効き過ぎます(甲状腺機能低下症で麻酔効き過ぎ)。
なた、本来、アレルギー反応は、橋本病よりもバセドウ病と関連が強いはずですが、甲状腺機能低下症では歯科材料に対するアレルギー(ニッケルアレルギー・パラジウムアレルギー・コバルトアレルギー)のリスクが3倍に増加するとの報告があります。[Dent J (Basel). 2020 Aug 3;8(3):83.]
甲状腺機能低下症では免疫不全の状態にあるため(甲状腺機能低下症と免疫力低下)、甲状腺ホルモンが正常でない時に抜歯・歯科治療行うと、歯周病菌・口腔内細菌が傷口から血液中に入り⇒急性化膿性甲状腺炎・全身膿瘍・感染性心内膜炎(糖尿病と歯周病⇒急性化膿性甲状腺炎・全身膿瘍・感染性心内膜炎 )
歯肉アメーバのEntamoeba gingivalisと口腔トリコモナスTrichomonas tenaxは口腔衛生状態の悪い患者、歯周病患者に見られる口腔原虫(寄生虫)です。健康な歯肉ではめったに見られません。高血圧、喫煙、心臓病、糖尿病患者は、これら寄生虫の陽性率が高いですが、甲状腺疾患では低いとされます。[Arch Razi Inst. 2022 Feb 28;77(1):87-93.]
特に高齢者などで、食べている最中に差し歯、義歯、歯のかぶせ(歯冠)を知らずに飲み込んでしまい(誤嚥)、むせたり、咳き込むことがあります。人工歯が外れたのに気付かず、喉(のど)に引っ掛かる感じがするので、甲状腺の病気と勘違いする人もいます。しかし、人工歯は気管支まで落ちて、気管支異物になっています。
子供などでは、未発達な歯が体育の授業中に折れたり、抜けたりして気管支異物にる可能性があります。小学生の歯の外傷は水泳、体操、鉄棒の最中に起こりやすい。
気道異物は、
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乳幼児と高齢者に多い
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分岐角の小さい右側に多い
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Holzknecht sign ;縦隔が吸気時に患側へ、呼気時に健側へ偏位
「令和3年版厚生労働白書」によると、自分の歯を20本以上もつ者の年齢階級別割合は、85歳以上の高齢者では25.7%(2016年)で、3.0%(1999年)の8倍以上に増えています。日本人のカルシウム摂取量の増加、骨粗しょう症治療薬の進歩、天然甘味料の普及と虫歯の減少などが要因として挙げられます。
保険の範囲内でできる人工歯は、寒天(寒天印象材)を使用しています。ヨウ素(ヨード)過剰摂取と関係ありませんが、時間と共に縮んで、横の歯との間に隙間が生じたりします。
一方、保険適応外のセラミック素材の歯では、齲歯(虫歯)の再発リスクが低くなります。
保険適応内外を問わず、歯のかみ合わせが悪いと、体調不良・頭痛・肩こりの原因となるため、かみ合わせに問題が生じないよう人工歯を調節してもらいましょう。
保険の範囲内で作れる銀歯で金属アレルギーがおきる場合があります(歯科金属アレルギー)。銀歯は銀を主成分とした合金、すなわち銀パラジウム合金です。唾液に触れるとイオン化し、その後、体内のタンパク質と結びついてアレルゲンとなり、金属アレルギーを惹起します。
歯科金属アレルギーは感作に時間を要するため、銀歯を入れて数年後に発症するケースもあります。
(写真、Clin Case Rep. 2018 Aug 28;6(10):1972-1977.より改変)
歯科金属アレルギーの症状は、
- 銀歯周辺の歯肉に炎症(歯肉炎);赤く腫れる
- 口内炎、口唇炎(唇が赤く腫れる)、舌炎(舌の痛み、味覚障害)
- 顔・手足・体に湿疹が出て痒い
- 掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)
歯科金属アレルギーの検査・診断は、皮膚科・アレルギー科で行うパッチテスト。内科で簡単にできる血液検査は偽陰性が多いので当てになりません。
保険適応外になりますが、銀歯をセラミック・レジン・ジルコニアなどメタルフリーの素材に変更すれば、症状改善する可能性があります。ただし、すぐに歯科金属アレルギー症状が改善するとは限らず、数ヵ月-数年の時間がかかります。また、歯科金属アレルギーの原因となる金属に触れれば再発する危険性があります。
水銀アレルギー患者の歯科用アマルガム(歯の詰め物、水銀アマルガム)を除去すれば、橋本病(慢性甲状腺炎)の自己免疫抗体、抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(TPO抗体)、抗サイログロブリン抗体(Tg抗体)が低下します(無機水銀、ニッケルなどの金属アレルギー)。[Neuro Endocrinol Lett. 2006 Dec;27 Suppl 1:25-30.]
顎関節症の原因は
- 咬み合わせの悪さ
- 左右どちらか一方でばかり噛む癖
- 頬杖、うつ伏せ寝、左右一方に偏った寝相などによる変形
- 首の筋の過緊張
などです。
顎関節症の治療は
- ストレッチ運動や、首の回りや、あご関節の周辺をマッサージして、筋肉をほぐすのも効果的。くれぐれも甲状腺の場所をマッサージしない様に!
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歯科的にはスプリント(マウスピース)による治療
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矯正手術;前項の甲状腺機能亢進症/バセドウ病、甲状腺機能低下症と歯科治療・抜歯のごとく、甲状腺機能が正常にコンントロールされていれる必要があります。
甲状腺機能低下症/橋本病と顎関節症
甲状腺機能低下症/橋本病では顎関節症の有病率が高く、矯正歯科治療に反応しない顎関節症は甲状腺機能低下症/橋本病を疑うべきとされます。(J Orofac Orthop. 2018 Jul;79(4):277-288.)
褐色腫瘍は、原発性、二次性副甲状腺機能亢進症による骨融解で発生します。褐色腫瘍の症状は、骨の膨張、骨痛、病的骨折です。下顎に発生した褐色腫瘍の報告があります(Int J Surg Case Rep. 2018;52:54-58.)。
名前が似ていますが、褐色腫瘍と褐色細胞腫は全くの別物です。
甲状腺関連の上記以外の検査・治療 長崎甲状腺クリニック(大阪)
- 甲状腺編
- 甲状腺編 part2
- 内分泌代謝(副甲状腺/副腎/下垂体/妊娠・不妊等
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長崎甲状腺クリニック(大阪)とは
長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査など]による甲状腺専門クリニック。大阪府大阪市東住吉区にあります。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,天王寺区,東大阪市,生野区,浪速区も近く。