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出産/授乳と甲状腺機能亢進症/バセドウ病        [甲状腺 専門医 橋本病 バセドウ病 甲状腺超音波(エコー)検査 長崎甲状腺クリニック(大阪)]

甲状腺:専門の検査/治療/知見① 橋本病 バセドウ病 専門医 長崎甲状腺クリニック(大阪)

甲状腺の、長崎甲状腺クリニック(大阪市東住吉区)院長が海外論文に眼を通して得たもの、院長自身が大阪市立大学 代謝内分泌内科で行った研究、甲状腺学会で入手した知見です。

バセドウ病出産後再発

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授乳中バセドウ病再発は、薬が母乳中に出て乳児にも影響が出る可能性があります。小児科と内分泌科の両方ある総合病院を受診ください。長崎甲状腺クリニック(大阪)は小児科でないため、乳児まで責任を持てません。

出産後バセドウ病再発

Summary

出産後に女性ホルモンが急激に低下すると反動(リバウンド)でバセドウ病の活動性が高まり増悪・再発。バセドウ病抗体TRAbは再上昇。抗甲状腺薬の再開、増量が必要。出産後に抗甲状腺薬のPTU(プロパジール、チウラジール)肝障害現れる事ある。メルカゾールは一日2錠まで、プロパジール、チウラジールは一日6錠まで授乳に問題なし。メルカゾール1回3錠以上でも、服薬後6~8時間あければ授乳に問題なし。搾乳も有効。補助薬は授乳L2指定のβ(ベータ)ブロッカー、セロケン®(メトプロロール)、ラベタロール(αβブロッカー)、授乳L1指定の抗アレルギー剤、クラリチン®(ロラタジン)。

Keywords

出産後,バセドウ病,再発,TRAb,プロパジール,チウラジール,肝障害,授乳,搾乳,メルカゾール

出産後バセドウ病再発とは

出産後バセドウ病が悪化します。妊娠中は女性ホルモンの免疫抑制作用で、バセドウ病の活動性が沈静化しますが、出産後に女性ホルモンが急激に低下すると反動(リバウンド)でバセドウ病増悪・再発します。

バセドウ病抗体TRAbは妊娠中減少し、バセドウ病増悪・再発した後、再上昇します。

出産後は抗甲状腺薬の再開、増量が必要です。

筆者の経験では、出産後バセドウ病再発は、強烈な再発になる場合が多いです。特に妊娠中に抗甲状腺薬(メルカゾール、プロパジール/チウラジール)を完全に中止できなかった人に多いため、出産後すぐに、妊娠前の量に戻すようにしています。

同時に、強烈な再発では、抗甲状腺薬(メルカゾール、プロパジール/チウラジール)を授乳が難しい量まで増量するため、最初から、必ず人工乳を混ぜるよう指示しています。

中には、いくら説明しても、母乳単独の授乳を譲らない方もおられますが、長崎甲状腺クリニック(大阪)では治療に責任が持てないため、他医に転院を勧めます。

妊娠及び出産後のTRAbの変動(バーチャル臨床甲状腺カレッジより)

妊娠及び出産後のTRAbの変動

出産後バセドウ病再発の頻度

出産後バセドウ病再発の頻度は、

  1. 妊娠時寛解状態[抗甲状腺薬(メルカゾール、プロパジール/チウラジール)飲まなくても甲状腺ホルモン正常を維持している]の、約0.7%は妊娠中再発、約12%は出産後再発
     
  2. 妊娠時に抗甲状腺薬(メルカゾール、プロパジール/チウラジール)服薬中の、約50%は出産までに投薬中止できたが、その約46%は産後再発
     
    (第62回 日本甲状腺学会 O6-1Basedow病合併妊娠における出産前後の病態推移の検討)

筆者の考えですが、

  1. 妊娠時すでに抗甲状腺薬(メルカゾール、プロパジール/チウラジール)が中止されていた人は、再発を警戒するしかありません
  2. 妊娠時に抗甲状腺薬(メルカゾール、プロパジール/チウラジール)服薬中の人は、妊娠中に中止すると出産後再発の危険が高いため、効き過ぎて甲状腺機能低下にならぬよう減量して、わずかでも服薬続けた方が良いと考えます。
    但し、メルカゾールの場合、メルカゾール胎児奇形 のため妊娠14週まで無機ヨウ素(KI)、またはプロパジールに変更するのが好ましいです。

出産後バセドウ病再発を予測

バセドウ病出産後再発

院長が、大阪市立大学 代謝内分泌内科で行った研究では、出産後バセドウ病が再発する時は、甲状腺へ流入する下甲状腺動脈の収縮期最大血流速度(ITA-PSV)がまず最初に上昇し、続けて甲状腺ホルモンが上昇。バセドウ病抗体のTSHレセプター抗体(TSH Receptor Antibody:TR-Ab)上昇は、再発した後になります。

下甲状腺動脈の収縮期最大血流速度(ITA-PSV)は、出産後再発の一か月前に上昇する事が多いです。

院長の論文

甲状腺機能亢進症/バセドウ病の出産後再発を、下甲状腺動脈の血流測定により、再発する一か月前に予測可能な事を世界で初めて証明。

出産後バセドウ病再発の診断でのアイソトープ検査(99mTc(テクネチウム)シンチグラフィー)

出産後バセドウ病再発か、出産後無痛性甲状腺炎か診断付かない時、最終手段はアイソトープ検査[99mTc(テクネチウム)シンチグラフィー)]です。

99mTcの半減期は6.01時間、テクネシンチ®注の添付文書には、「授乳中の婦人は投与後少なくとも3日間は授乳しない方が良いとの報告がある(J Nucl Med 12:188, 1971)。」と記載されています。

出産後、TSB-Ab(TSHレセプター抗体[阻害型])の比率が高くなり甲状腺機能低下症

妊娠出産が誘因となりTS-Ab(TSHレセプター抗体[刺激型])TSB-Ab(TSHレセプター抗体[阻害型])の比率が、めまぐるしく数カ月単位で変化し、甲状腺機能亢進症甲状腺機能低下症を繰り返す症例が報告されています。

出産後再発せずに、TSB-Ab(TSHレセプター抗体[阻害型])の比率が高くなり、甲状腺機能低下症になる場合もあります。
(第53回 日本甲状腺学会 P-143 出産後に甲状腺機能低下症を認めたバセドウ病の一例)

出産後PTU(プロパジール、チウラジール)肝障害

甲状腺機能亢進症/バセドウ病に投与する抗甲状腺薬のPTU(プロパジール、チウラジール)肝障害が、出産後に現れる事あります。PTU(プロパジール、チウラジール)肝障害は、いつおこっても不思議はないのですが、出産後の急激なホルモンバランスの変化が原因の可能性あります。(第58回 日本甲状腺学会 P1-12-4 出産後に甲状腺機能亢進の悪化と肝障害を来したPTU投与中バセドウ病合併妊娠の1例)

 授乳と抗甲状腺薬(メルカゾール、プロパジール/チウラジール)

授乳中バセドウ病再発は、薬が母乳中に出て乳児にも影響が出る可能性があります。小児科と内分泌科の両方ある総合病院を受診ください。長崎甲状腺クリニック(大阪)は小児科でないため、乳児まで責任を持てません。

抗甲状腺薬(メルカゾール、プロパジール/チウラジール)

甲状腺機能亢進症/バセドウ病に投与する抗甲状腺薬(メルカゾール、プロパジール、チウラジール)のうち、

  1. PTU(プロパジール、チウラジール)の乳汁移行はMMI(メルカゾール)の約1/10と低く
  2. メルカゾールなら一日2錠まで、プロパジール、チウラジールなら1日6錠まで問題ありません
     
  3. 抗甲状腺薬を服用後、4-6時間以上経過すると母乳中の濃度はかなり低くなります。メルカゾールを1日3-4錠飲む場合も、服薬後4-6時間あければ授乳に問題ありません(バセドウ病治療ガイドライン 2019)。
    また、搾乳し母乳を保存するのも有効な方法です(当然、保存限界期間は守るべし。)
     
    しかし、PTU(プロパジール、チウラジール)一日6-9錠は、朝夕2日に分けて投与せざる得ないため、服薬後4-6時間あけての授乳・搾乳は、かなり厳しいです。
     
  4. バセドウ病治療ガイドライン 2019では、
    ①メルカゾール1日3-4錠、PTU(プロパジール、チウラジール)1日6-9錠で、服薬後4-6時間あけれず授乳する場合、児の甲状腺ホルモンをチェックもする
    ②メルカゾール1日5錠、PTU(プロパジール、チウラジール)1日10錠以上の授乳は、児の甲状腺ホルモンをチェックもする
     
    大阪母子医療センターでは、メルカゾール一日6錠まで授乳可で、一日4錠以上は、母乳終了まで児の甲状腺ホルモンをチェックもするそうです。
     
    現実問題として、
    ①新生児-乳児の甲状腺ホルモンをチェックは、母子ともに診れる母子医療センターのような施設でなければ不可能です[長崎甲状腺クリニック(大阪)では無理です]。
    授乳が終わるまで、頻回に(月1回程度でも)、採血して新生児-乳児の甲状腺ホルモンをチェックするのは、母子ともに大変です。

甲状腺機能亢進症/バセドウ病女性授乳は、問題山積です。このような事にならない様、長崎甲状腺クリニック(大阪)では、妊娠中、必ず

出産後バセドウ病(再発)は強烈で、かなりメルカゾール、プロパジール/チウラジールを増量し、授乳ができなくなる可能性あるため、母乳だけでなく人工乳も併用し、人工乳に慣らしておいて下さい」

と再三、指導しています。

搾乳機

搾乳機、写真のような簡易なものなら、マタニティー関連のお店や、ネット通販で簡単に買えます。

過去に一例だけ、一日2錠のメルカゾール服薬で、授乳中の児に全身発赤が出た症例が報告されています。ただし、メルカゾールとの因果関係は不明で、偶然時期が重なっただけかもしれません。(第53回 日本甲状腺学会 P-99 母親の methimazole 内服が原因と思われる授乳後乳児皮疹の一例)

授乳中甲状腺機能亢進症/バセドウ病の補助薬

抗アレルギー剤

アレルギー性鼻咽頭炎、アレルギー性結膜炎(花粉症)は甲状腺機能亢進症/バセドウ病の活動性を上げます。アレルギー体質の人が授乳中に、甲状腺機能亢進症/バセドウ病の発症・再発・増悪あれば、抗アレルギー剤も必要になります。乳汁に移行しない授乳L1の指定のある唯一の抗アレルギー剤、クラリチン®(ロラタジン)を使用します。

授乳L1:最も安全(safest)。多くの授乳婦が使用するが、児への有害報告なし。対照試験でも児に対するリスクは示されず、乳児に害を与える可能性はほとんどない。又は、経口摂取しても吸収されない。

β(ベータ)ブロッカー

(ベータ)ブロッカーは本来、高血圧・頻脈性不整脈・心不全・狭心症の薬です。甲状腺ホルモンが正常化していないバセドウ病/甲状腺機能亢進症の状態では、高血圧・頻脈性不整脈・心不全・狭心症が起こりやすく、致死性不整脈、急性心不全、狭心症/心筋梗塞、たこつぼ型心筋症による突然死や命にかかわる甲状腺クリーゼを防ぐ目的で使用されます。

残念ながら、授乳L1指定のβ(ベータ)ブロッカーは存在しません。ただし、授乳L2指定のセロケン®(メトプロロール酒石酸塩)か、ラベタロール(αβブロッカー)を使用します。

授乳L2:比較的安全(safer)。少数例の研究に限られるが、乳児への有害報告なし。リスクの可能性がある根拠はほとんどない。

ヨウ化カリウム(KI)

ヨウ化カリウム(KI)は、乳汁中に分泌され、乳児の甲状腺を抑制、潜在性甲状腺機能低下症を生じる可能性があり、可能な限り避けることが推奨されています。(バセドウ病治療ガイドライン 2019)

田尻クリニックによると、ヨウ化カリウム(KI)11-76mg(1錠50mg)を服用している授乳中のバセドウ病女性の母乳中には大量のヨードが分泌され、児にも母乳を介して大量のヨードが移行します。結果、児の甲状腺機能は10 例中8 例は正常ながら2例で潜在性甲状腺低下症[TSH7.1と5.3μU/L(0.5-5.0)]がみられたそうです。(第56回 日本甲状腺学会 P2-056 ヨウ化カリウムを服用しているバセドウ病授乳婦の母乳中ヨード濃度と乳児甲状腺機能の関係)

田尻クリニックの前年の報告では、潜在性甲状腺機能低下症がおこるのはヨウ化カリウム(KI)投与後1-2カ月。特に、ヨウ化カリウム(KI)内服量と、児のTSHに相関なしとの事です。(第55回 日本甲状腺学会 O-09-01  バセドウ病授乳婦のKI内服による乳幼児甲状腺機能への影響)

甲状腺関連の上記以外の検査・治療   長崎甲状腺クリニック(大阪)


長崎甲状腺クリニック(大阪)とは

長崎甲状腺クリニック(大阪)は甲状腺(橋本病,バセドウ病,甲状腺エコー等)専門医・動脈硬化・内分泌の大阪市東住吉区のクリニック。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,天王寺区,東大阪市,生野区,浪速区も近く。

長崎甲状腺クリニック(大阪)

甲状腺(橋本病,バセドウ病,甲状腺エコー等)専門医・動脈硬化・内分泌・糖尿病の長崎クリニック(大阪市東住吉区)(近く に平野区、住吉区、阿倍野区、松原市)
長崎甲状腺クリニック(大阪)は甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査等]の大阪市東住吉区にある甲状腺専門クリニック。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市近く

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