ヨードと甲状腺      [甲状腺 専門医 橋本病 バセドウ病 動脈硬化 甲状腺超音波(エコー)検査の長崎甲状腺クリニック(大阪)]

甲状腺:最新・専門の検査/治療/知見②甲状腺専門医 橋本病 バセドウ病 長崎クリニック(大阪)

甲状腺の、長崎甲状腺クリニック(大阪市東住吉区)でしかできない検査/治療・当院ホームページでしか得られない情報が満載です。これらは、院長が最新の海外論文に眼を通して得たもの、院長自身が大阪市立大学 代謝内分泌内科で行った研究、甲状腺学会で入手した知見です。

食品中のヨード含有量

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甲状腺編 では収録しきれない最新・専門の検査/治療です。

甲状腺専門医療施設でも、一般内科でも「普通に常識量食べる分にはヨード制限は必要ない、過剰に食べなければ良い。」と言われる事がほとんどです。しかし、どこまでが常識量で、どこからが過剰量か本当に知って言ってる医者はほぼ皆無です。

長崎甲状腺クリニック(大阪)では、診察時に個々の甲状腺患者さんの食生活・生活習慣をヒアリングしてヨード過剰摂取制限を指導いたします。(電話での対応はお断り致します。)

Summary

橋本病ヨード過剰摂取は①甲状腺組織の破壊を促進②甲状腺ホルモン合成を抑制(持続性ウォルフチャイコフ効果)③無痛性甲状腺炎誘発④甲状腺癌発生の可能性。バセドウ病ヨード過剰摂取制限はすべき。皮膚からもヨード吸収されます。赤色3号・赤色105号・クロレラはヨード含有。ヨード欠乏地域から日本へ海外赴任する外国人は甲状腺中毒症になる可能性。

ヨードと甲状腺

以下はヨード過剰摂取を何年~何か月続けた場合、起こリ得る様々な害を説明したものです。毎日の事でなければ、時に摂り過ぎるくらいは問題ありません。

例①:おせちで昆布巻を食べ過ぎた⇒それくらい大丈夫です。
例②:造影CT(またはMRI)でヨード造影剤を使った。⇒毎月1回のペースで何か月も延々と続けなければ大丈夫です。
例③:風邪をひいたので、1週間イソジンでうがいした。⇒それくらい大丈夫です。

ヨード摂取量

コンブはヨードの過剰摂取の原因

日本は世界でも稀な海藻類を日常的に多く摂取する国で、日本人は海藻類(昆布・ヒジキ・モズクなど)のとり過ぎです。ヨードの口からの吸収率は100%、皮膚からは0.1%、米にすら微量のヨードが含まれています。日本人の1日のヨード平均摂取量は0.5mg-3mgとされ、厚生労働省の推奨値0.13mg, 上限値2.2mgを超えています(Thyroid 18: 667-668,2008)。WHO(世界保健機構)の勧告では、1日のヨード推奨量は250μg(0.25mg)で、

  1. 妊娠時は500μg(0.5mg)以上を過剰摂取
  2. 非妊娠時は300μg(0.3mg)以上を過剰摂取

としています。(Geneva, World Health Organization,2007)

海草に多く含まれるヨードは甲状腺ホルモンの原料ですが、甲状腺正常の人でさえ、1日のヨード摂取量が1.5mgを超えると甲状腺機能低下症おこします(Metabolism 37:121-124,1988)。

食品中のヨード含有量
食品中のヨード含有量
妊娠中のヨード過剰摂取制限

海藻は体に良いので、どんどん食べろと言われますが、元々甲状腺に問題のない人の事でも、ヨード過剰摂取で下記のようにトンデモナイ事になります。「過ぎたるは及ばざるがごとし」。(ほんとは怖い家庭の医学のように・・・・)

まして、甲状腺が悪い方には、ヨード過剰摂取は更に深刻で、ほとんどの甲状腺の病気で共通する注意点は、ヨードの過剰摂取を制限することです(ただし常識量は可)。ヨードの過剰摂取は、

  1. 甲状腺組織の破壊を促進
  2. 甲状腺ホルモンの合成を抑制(持続性ウォルフチャイコフ効果)→甲状腺機能低下症悪化
  3. 無痛性甲状腺炎(痛みを伴わない甲状腺の亜急性破壊)を誘発
  4. 甲状腺癌の発生率を増加させる可能性が指摘されます。

1. 甲状腺組織の破壊を促進

これは、イオン化したヨードにより甲状腺内の酸化・抗酸化のバランスが狂い、有毒な活性酸素(フリーラジカル)が発生。甲状腺組織の障害(遺伝子レベルで損傷すると発がん)がおこるためと考えられています。

2. 甲状腺ホルモンの合成を抑制(持続性ウォルフチャイコフ効果)

ヨードの過剰摂取は、甲状腺ホルモン合成過程でのヨード有機化を障害し、甲状腺ホルモン合成を抑制(急性ウォルフチャイコフ効果)します(J Biol Chem. 1948;174:555–564.)。

健康な人はヨードの過剰摂取が続いても、甲状腺内へヨードの取り込みが減少(Na-Iシンポーターが減少)して、急性ウォルフチャイコフ効果が解除されます(エスケープ現象)。(Endocrinology 140:3404-3410,1999)

しかし、

  1. 橋本病
  2. アイソトープ(放射線、131-I)治療後バセドウ病
  3. 高齢者
  4. 胎児・新生児
  5. 透析患者
  6. 慢性肺疾患
  7. 神経性食欲不振症

では、エスケープ現象がおこらず、甲状腺ホルモンの合成が抑制され続けます(持続性ウォルフチャイコフ効果)(J Clin Endocrinol Metab. 1975;40:435–441.)。

3. 無痛性甲状腺炎おこす可能性

4. 甲状腺癌の発生率を増加させる可能性

さらに恐ろしいことに、甲状腺乳頭癌になった人は、バセドウ病橋本病だけの人と比べて、かなり多くのヨードを摂取していたとする研究があります。ヨード甲状腺乳頭癌特有のBRAFという遺伝子の変異をおこさせるためと考えられます。

表には書いてありませんが、メカブ100g当たりヨード390μg(0.39mg)で少ないです(ワカメの茎なので)。

バセドウ病とヨード

バセドウ病ヨード制限には一定の見解はなく、某有名甲状腺専門病院のホームページでも「ヨードを制限する必要はないだろう」と述べています。しかし、最新の知見では、

  1. バセドウ病橋本病はコインの裏表であり、両方の抗体が併存し、どちらに行くかはTh1/Th2リンパ球の比率による」のです。よって、バセドウ病であっても、ヨードの過剰摂取で、①甲状腺組織の破壊が促進、②無痛性甲状腺炎(痛みを伴わない甲状腺の亜急性破壊)を誘発(特にバセドウ病寛解期に起こる事があります)する可能性があります。
  2. バセドウ病の1.3%に甲状腺乳頭癌が発生すると言われています。一方でヨード甲状腺乳頭癌特有のBRAFという遺伝子の変異を起こさせる事が最近明らかになりました。(バセドウ病と腫瘍・癌
  3. 甲状腺ホルモン正常化していない不安定な状態で造影CT(またはMRI)でヨード造影剤を使うと、死亡率10%の甲状腺クリーゼをおこす危険があります。
  4. ヨードの過剰摂取で、甲状腺機能亢進症/バセドウ病を発症させる事があります(通常は、甲状腺機能低下症おこし、無痛性甲状腺炎を誘発)。(第54回 日本甲状腺学会 P196 昆布ダイエットを契機にバセドウ病及びバセドウ病眼症を発症した一例)

これを知っていれば「気にせずにヨードを普通にとってかまいません。」などとは、とても言えないと思います。

うがい薬で甲状腺障害

のどの粘膜からも、ヨードは100%吸収されます。うがい薬に入っているヨードは、効率よく体内に入り込み、甲状腺障害を起こします。イソジンうがい液 ・のど△ーるスプレー・フィ○ッシュXーワ・ルゴールスプレーにはヨード(ポビドンヨード)が入っています。イソジンうがい液は、褐色なのですぐにヨードと判りますが、のど△ーるスプレー・フィ○ッシュXーワは透明・クリアカラーなので一見ヨードと判りません。風邪などで、一時的に使うのは問題ありません。外から帰った時など、毎日するのはダメです。

アズレン系の青いうがい薬はヨードが入っていません(薬局にて購入ください)

  1. イソジンガーグル液(イソジンうがい液)7%(1ml中有効ヨードとして7mg含有)
  2. のどぬーるスプレー® (1ml中ヨード5mg含有)
  3. ルゴールスプレー[1ml中ヨウ化カリウム10mg(ヨード7.64mg)、ヨード5mg含有]:最悪

他の類似製品も同じようなものです。

赤色3号・赤色105号

ヨードを含む赤色105号

赤色3号・赤色105号はチェリー・福神漬・紅生姜・梅干・赤ソーセージ等に使われる赤色色素です。ヨードが含まれています。医療機関で処方される薬(フルイトラン錠・メキシチールカプセル・ハルシオン0.125mg錠・エンピナース・P(カプセル)・ビタメジンカプセル)にも含まれており、他の薬で代用が可能なら変更した方が良いでしょう。

クロレラ

クロレラにもヨードが含まれます

健康食品として簡単に購入できるクロレラにもヨードが含まれます。毎日の服薬でヨードの過剰摂取を促進します。

クロレラが免疫系に作用するかは、定かでなく、「インフルエンザ等への免疫を高める」ことは証明されていません。

クロレラに対する日本医師会の注意勧告

甲状腺機能低下症/橋本病に合併する関節リウマチなど自己免疫疾患には念のためクロレラの使用を控えた方が良いでしょう。

ヨード欠乏地域から日本へ海外赴任する外国人

ヨード欠乏地域では過剰にヨード摂取すると甲状腺中毒症になりやすく、ヨード欠乏地域在住の外国人が日本へ海外赴任し、日本の食生活を続けると甲状腺中毒症になる可能性あります。

意外にもオーストラリアはヨード欠乏地域だそうです。海に面しても海産国ではないし・・。

皮膚からのヨード吸収

皮膚からのヨード吸収率はわずか0.1%ですが、熱傷などで皮膚の粘膜バリアが破たんした状態での吸収率は、さらに高いと考えられます。例えば、全身の重度熱傷で、ヨード含有軟膏を1日1500g使用すれば、数週で甲状腺機能低下症になります。

  1. 白糖・ポビドンヨード配合軟こう(ユーパスタ・ソアナース):100g中ヨード3g配合
  2. ヨウ素(カデックス・ヨードコート)軟こう・外用散:0.9%、100g中ヨード0.9g配合

で、たとえ0.1%の吸収率でも過剰量になります。

ヨード造影剤と甲状腺

造影CTの検査などでは、大量のヨードを含む水溶性ヨード造影剤が使用されます(13.5mg/1回)。

甲状腺機能亢進症の場合

甲状腺機能が正常化していない、未治療あるいは治療途中の甲状腺機能亢進症/バセドウ病[無痛性甲状腺炎機能性結節(甲状腺ホルモン産生腫瘍)の事もあり]で、ヨード造影剤は甲状腺クリーゼを引き起こす可能性があるので、禁忌とされます。確かに、造影剤投与後に甲状腺機能亢進症甲状腺クリーゼをきたした報告があります(de Bruin TWA, et al:Iodide-induced hyperthyroidism with computed tomography contrast fluids. Lancet,343:1160-1161, 1994.)[樽谷康弘ほか:造影剤が誘因と考えられた甲状腺クリーゼの一例. Jpn Circ J, 62(Suppl.3):973, 1998.]。

しかし、実際の医療の現場では、甲状腺クリーゼの治療時、患者が昏睡状態でヨウ化カリウムを内服できない時、ヨード造影剤で代用します。もちろん、ヨードが甲状腺に抑制を掛け、甲状腺ホルモン値は低下し、命にかかわる危険な状態から脱出します。

成程、ヨード欠乏地域に住む人に、ヨード造影剤のみならず、大量のヨードを与えると、一気に甲状腺ホルモン合成が活発化し、甲状腺中毒症起こすのは良く知られます。しかし、ヨード過剰摂取地域の日本で生きている限り、大量のヨードが甲状腺ホルモン合成を抑制する事はあっても、甲状腺ホルモン合成が活発化するとは考えにくいのです。よく引用されるESUR Guidelines on Contrast Mediaは、ヨード欠乏地域であるヨーロッパで作成されたガイドラインです(Eur Radiol, 14:902-907, 2004.)。

ただ、

  1. [樽谷康弘ほか:造影剤が誘因と考えられた甲状腺クリーゼの一例. Jpn Circ J, 62(Suppl.3):973, 1998.]が存在し、
  2. 添付文書に
    「【禁忌】(次の患者には投与しないこと)重篤な甲状腺疾患のある患者[ヨード過剰に対する自己調節メカニズムが機能できず,症状が悪化するおそれがある]」
    と書かれている

限り、ヨード造影剤を甲状腺ホルモンが正常化していないの甲状腺機能亢進症の患者に使用できません。

甲状腺機能低下症の場合

ヨードが甲状腺に抑制を掛け、甲状腺ホルモン値はさらに低下し、甲状腺機能低下症は悪化します。命にかかわる危険な粘液水腫性昏睡をおこす可能性もゼロではありません。甲状腺ホルモン剤(チラーヂンS)で、甲状腺機能がある程度改善された状態で使用するのであれば問題ないと思います。

甲状腺とヨード造影剤腎症

甲状腺とヨード造影剤腎症 を御覧ください。

ヨード造影剤と甲状腺のRI(ラジオアイソトープ)検査・放射性ヨード治療

ヨード造影剤使用後2カ月間は,甲状腺のRI(ラジオアイソトープ:放射性同位元素)検査、放射性ヨード(131-I)治療は行えません。

低カルシウム性テタニー

副甲状腺機能低下症(自己免疫性、甲状腺摘出後)による低カルシウム血症がひどいと、テタニーと呼ばれる筋肉のぴくつき,けいれんがおこります。ヨード造影剤により、血中カルシウムがさらに低下し、テタニーを悪化させるおそれがあります。

ヨード造影剤は副腎褐色細胞腫に絶対禁忌

副腎褐色細胞腫に、ヨード造影剤を使用してはいけません(原則禁忌)。命にかかわる危険な褐色細胞腫クリーゼ(血圧上昇、頻脈、不整脈等の発作)をおこす可能性があります。ヨード造影剤にアレルギーがある場合、多量のヒスタミンが分泌され、副腎髄質、副腎髄質腫瘍である褐色細胞腫を刺激するためと考えられます。

やむを得ずヨード造影剤査を実施する場合、

  1. 静脈確保の上
  2. フェントラミンメシル酸塩等のα遮断薬およびプロプラノロール塩酸塩等のβ遮断薬の十分な量を用意する

など、褐色細胞腫クリーゼに対処できるよう十分な準備を行い、慎重に投与せねばなりません。]

アナフィラキシーショック(ヨードアレルギー)

ヨード造影剤が、アナフィラキシーショックを起こすリスクは他の薬剤に比べやや高い。

ヨード造影剤点滴後に、体が熱く感じますが、血管が広がり血行が良くなるだけですので、問題ありません。

沿岸性甲状腺腫地方

日本人のヨー必要量0.1mg/日、平均摂取量1-3mg/日であるのに対し、海沿いで甲状腺腫(甲状腺の腫れ)が多発する地方沿岸部甲状腺腫地方では30mg/日(300倍)の異常な量のヨードを摂取しています。(第59回 日本甲状腺学会 専門医教育セミナーⅡ)

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