甲状腺/糖尿病とウイルス・日和見感染・免疫不全,サイトメガロウイルス,帯状疱疹,水痘,単純ヘルペス脳炎,アメナリーフ(アメナメビル)[長崎甲状腺クリニック]
長崎甲状腺クリニック(大阪)は、甲状腺専門クリニックに特化するため、糖尿病内科を廃止しました。
長崎甲状腺クリニック(大阪)では感染症治療を行っておりません。
糖尿病:専門の検査治療[橋本病 バセドウ病 甲状腺超音波エコー 長崎甲状腺クリニック大阪]
甲状腺専門・内分泌代謝・動脈硬化の長崎甲状腺クリニック(大阪府大阪市東住吉区)院長が海外・国内論文に眼を通して得た知見、院長自身が大阪市立大学 代謝内分泌内科(内分泌骨リ科)で得た知識・経験・行った研究、日本甲状腺学会で入手した知見です。
長崎甲状腺クリニック(大阪)以外の写真・図表はPubMed等において学術目的で使用可能なもの(Creative Commons License)、public health目的で官公庁・非営利団体等が公表したものを一部改変しています。引用元に感謝いたします。尚、本ページは長崎甲状腺クリニック(大阪)の経費で非営利的に運営されており、広告収入は一切得ておりません。
甲状腺・動脈硬化・内分泌代謝・糖尿病に御用の方は 甲状腺編 動脈硬化編 甲状腺以外のホルモンの病気(副甲状腺/副腎/下垂体/妊娠・不妊など) 糖尿病編 をクリックください。
甲状腺と糖尿病
1型、2型糖尿病を問わず甲状腺疾患の合併が多いとされます[BMC Med. 2016 Sep 30; 14(1):150.][Clin Endocrinol (Oxf). 2011 Jul;75(1):1-9.]。詳しくは 甲状腺と糖尿病 を御覧下さい
甲状腺機能低下症と免疫力低下には、いろいろな意見があります。甲状腺ホルモンの低下そのものが、免疫系統に直接影響する証拠はありません。また、甲状腺機能低下症の方でも、甲状腺ホルモン製剤で血中甲状腺ホルモン濃度を正常範囲にコントロールすれば、正常な方と同じ免疫力になります。
しかしながら、甲状腺機能低下症が見逃されたり、甲状腺機能低下症と診断されても患者自身が治療を放棄、あるいは、甲状腺ホルモン補充を開始して間がなく、血中甲状腺ホルモン濃度が正常範囲に到達していない状態では、全身の新陳代謝の低下、低体温による2次的な免疫不全が存在します。
※最近の基礎医学研究では甲状腺ホルモンそのものが免疫細胞に直接影響する結果が大半です。(甲状腺機能低下症と免疫力低下)
糖尿病の高血糖下では免疫細胞の働きが妨げられ、免疫不全状態にあります。感染症を起こしやすくなり、通常なら感染しないような弱毒菌に感染する日和見感染をおこします。また、体内で発生した癌細胞を駆除できず、癌が進行します、
Summary
サイトメガロウイルス(CMV)は亜急性甲状腺炎の原因ウイルスの一つ。甲状腺クリーゼに合併し得る血球貪食症候群の原因としてサイトメガロウイルスなどヘルペス属は多い。甲状腺ホルモンが神経細胞でのヘルペスウイルス遺伝子発現・複製を抑えている。甲状腺機能低下症は水痘帯状疱疹ウイルス再活性化の危険因子。不活化帯状疱疹ワクチン シングリックスは糖尿病・甲状腺機能低下症患者にも投与可。糖尿病の免疫不全はヘルペス脳炎の発症要因。単純ヘルペス脳炎は非ヘルペス性急性辺縁系脳炎や橋本脳症と鑑別必要。アメナリーフ錠(アメナメビル)の甲状腺・内分泌系副作用報告は無い。
Keywords
ヘルペス,糖尿病,不活化帯状疱疹ワクチン,シングリック,アメナリーフ,甲状腺,サイトメガロウイルス,ヘルペス脳炎,水痘,帯状疱疹
- 急激に発症する劇症1型糖尿病患者の70%は、発症前に発熱・上気道炎など風邪症状を伴うため、風邪ウイルスが1 型糖尿病発症の原因と考えられています。
また従来の1 型糖尿病もウイルス感染説が見直され、サイトメガロウイルス(CMV)もEBウイルス(エプスタイン・バールウイルス:Epstein-Barr virus:EBV)と同じく候補にあがっています。
- サイトメガロウイルス(CMV)は、亜急性甲状腺炎 における原因ウイルスの一つ(Int J Pediatr Otorhinolaryngol. 2003 May;67(5):447-51.)[Endocrinol Diabetes Metab Case Rep. 2017 Nov 24;2017:17-0142.]
- サイトメガロウイルス(CMV)感染は、自己免疫性甲状腺疾患(橋本病、バセドウ病)に合併する自己免疫性肝炎の誘因になります。
- 甲状腺クリーゼに合併しうる血球貪食症候群の原因として、サイトメガロウイルス(CMV)などのヘルペス属ウイルスが多い。
- ステロイド剤治療中のサイトメガロウイルス(CMV)感染により、直腸炎、直腸潰瘍が起きる場合があります。血管内皮細胞でサイトメガロウイルス(CMV)が増殖し、炎症により血管が狭窄すると、腸粘膜は虚血状態になり潰瘍が生じます。特に、潰瘍性大腸炎では、腸管粘膜局所のサイトメガロウイルス(CMV)再活性化による大腸炎増悪、大腸潰瘍が問題に。
- 日和見感染症による食道炎の原因として、カンジダに次いで多い。
CMV-IgM:初期感染・再賦活時に上昇。
TBLB(経気管支肺生検):サイトメガロウイルス(CMV)感染細胞に核内封入体
帯状疱疹では、水疱性発疹が出現する約3-7日前から、皮膚表面に何も異常が無いのに疼痛だけが出現します。写真の様に左胸なら、狭心症、肺疾患[気胸、肺炎、肺血栓塞栓症(肺梗塞)など]を疑われるも、検査しても何も異常が見つかりません。
顔面の水痘・帯状疱疹
顔面神経で水痘・帯状疱疹ウイルスの活動性が上昇し、神経に沿って
- 末梢側に進展した場合に耳性帯状疱疹(ラムゼイ・ハント症候群:Ramsay-Hunt症候群)
- 中枢側に進展した場合に水痘・帯状疱疹ウイルス脳幹炎・髄膜炎
を引き起こします。症状はほぼ同じで、
- 耳介(耳たぶ)や外耳道(耳の穴)に赤い発疹や水疱
- めまいや片側の耳閉感・難聴;聴神経(第VIII脳神経)麻痺→内耳神経麻痺
- 表情筋の運動低下・味覚障害などの顔面神経(第VII脳神経)麻痺
など。
Ramsay Hunt 症候群は、単純ヘルペスウイルス(HSV)によるBell麻痺(ベル麻痺)よりも神経障害が強く重症で、予後不良。急性期の治療は副腎皮質ステロイドと抗ウイルス薬投与。
急性腎障害(Acute Kidney Injury: AKI)
強い痛みのため食事も摂れなくなった状態(脱水)で鎮痛剤(NSAIDs)を連用すると、急性腎障害(Acute Kidney Injury: AKI)を引きおこす危険があります。特に体液量が少ない高齢者、慢性腎臓病(CKD)患者では、NSAIDの腎血管収縮作用によって急激な腎機能悪化を来します。異常な発汗量で脱水状態にある甲状腺機能亢進症/バセドウ病患者も要注意。
帯状疱疹治療薬の抗ヘルペスウイルス剤アシクロビルは腎排泄性なので、投与量を減らす必要があります。
不活化帯状疱疹ワクチン (シングリックス®)
帯状疱疹を罹った人の5%は、免疫力が低下した時に再発します。50歳以上の人には、帯状疱疹ワクチン接種が勧められています。以前は水痘ワクチン(水ぼうそうワクチン)で代用していましたが、現在は安全で有効性の高い不活化帯状疱疹ワクチン シングリックス®が使用されます(計2回筋肉注射)。50歳以上で約97%、70歳以上で約90%の帯状疱疹予防効果が得られます。
水痘ワクチンは生ワクチンなので、副腎皮質ステロイド剤・免疫抑制剤を服薬中の人、免疫不全の人(糖尿病・甲状腺機能低下症の人を含む)には使用できませんが、シングリックス®は不活化ワクチンなので、免疫不全患者にも安心して投与できます。
2025年から帯状疱疹ワクチンは定期予防接種となり、一部自己負担の公費負担接種できます。自治体によって対象年齢・助成金額は異なります。
(日本医師会 健康プラザより改変)
帯状疱疹後肉芽腫
帯状疱疹が治癒して数か月から数年後、同じ場所に肉芽腫が形成され、帯状疱疹後肉芽腫になります。自覚症状の無い弾性硬の紅色丘疹で、病理像は様々(肉芽腫性血管炎、サルコイド肉芽腫など)です。
帯状疱疹後肉芽腫には、白血病、悪性リンパ腫、骨髄異形成症候群(MDS)などの血液癌が高頻度に合併します。免疫力低下が帯状疱疹後肉芽腫形成に関与している可能性があります。
帯状疱疹後肉芽腫の治療は、ステロイド剤(外用・局所注射・内服)で抗ウイルス薬の投与は無効。自然軽快する事もある。
水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV:varicella-zoster virus)は、初感染で水痘、免疫不全状態(糖尿病・甲状腺機能低下症も含む)での再活性化で帯状疱疹をおこします。近年は小児だけでなく、成人発症の水痘が増加傾向にあります。
水痘は結核、麻疹(はしか)と同じく空気感染(飛沫核感染)するため、帯状疱疹患者に直接、接触しなくても感染します。
水痘は2~3 週間の潜伏期を経て、
- 38℃台の発熱と咽頭痛;亜急性甲状腺炎、伝染性単核球症などと鑑別
- 解熱鎮痛剤(NSAID)服薬後、顔面、口腔粘膜、体幹に、紅暈を伴う小水疱と小膿疱が多発
時間差を置いて紅斑→水疱→膿疱→痂皮が混在
固定薬疹と鑑別
水痘の治療は対症療法で、アセトアミノフェンなど。小児にアスピリン投与するとReye 症候群を誘発。
免疫不全者に限り、アシクロビルなどの抗ウイルス薬を投与。
学校保健安全法により、児の水痘では全ての発疹が痂皮化するまで出席停止(約1週間)。
単純ヘルペス脳炎(herpes encephalitis)は、口唇ヘルペスの原因となる単純ヘルペスウイルス(herpes simplex virus;HSV)1型の再活性化(成人)または初感染(小児)が原因。
糖尿病の免疫不全はヘルペス脳炎の発症要因です。
単純ヘルペス脳炎は、
- 急性(出血性)脳脊髄炎(70%でけいれん)
- 側頭葉症状(認知症的異常行動・健忘)
- 幻視や異常行動
が特徴。死亡率は30%と高く、疑われたら即、抗ウイルス剤のアシクロビルか耐性ウイルスにはビダラビン(アラセナ-A)投与。
- 迅速診断は髄液のヘルペスウイルスPCR陽性(発症24-48時間以内はPCR偽陰性)
- 髄液自体は圧上昇、リンパ球優位の細胞数増加[急性期は多核白血球のことも]、蛋白増加、赤血球・キサントクロミー(溶血した血液により染色され黄色、淡黄色)
- CT/MRIにて側頭葉・大脳辺縁系の出血壊死病変
単純ヘルペス脳炎は、非ヘルペス性急性辺縁系脳炎・脳症(NHALE)や橋本脳症との鑑別が必要です。[F1000Res. 2020 Jan 29;9:F1000 Faculty Rev-60.]
単純ヘルペスウイルス角膜炎
単純ヘルペスウイルス角膜炎(角膜ヘルペス, Herpes Simplex Keratitis)は、樹枝状角膜炎になります。
帯状疱疹・再発性の単純疱疹に適応のあるアメナリーフ錠®(アメナメビル:Amenamevir)は、従来の抗ヘルペスウィルス薬[バルトレックス錠®(バラシクロビル)やファムビル錠®(ファムシクロビル)]などとは作用機序が異なります。
水痘・帯状疱疹ウィルス複製の初期段階である二本鎖DNAの開裂及びRNAプライマーの合成に必要なヘリカーゼ・プライマーゼ複合体の活性を直接阻害することで、ウイルスの増殖を抑制します。
アメナリーフ錠®(アメナメビル)は、
- 腎機能に影響されないので、慢性腎臓病(CKD)患者にも安全に投与できる
- 空腹時に服薬すると吸収率が低下。食後に服用せねばならない
- 2025年10月の時点で、甲状腺・内分泌器官に対する副作用の報告は無い
甲状腺関連の上記以外の検査・治療 長崎甲状腺クリニック(大阪)
- 甲状腺編
- 甲状腺編 part2
- 内分泌代謝(副甲状腺/副腎/下垂体/妊娠・不妊等
も御覧ください
長崎甲状腺クリニック(大阪)とは
長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査など]による甲状腺専門クリニック。大阪府大阪市東住吉区にあります。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,天王寺区,東大阪市,生野区も近く。













