低血糖症(各論)①インスリノーマ(インスリン産生腫瘍)症状,診断,治療,インスリノーマ関連タンパク質1(INSM-1)[長崎甲状腺クリニック 大阪]
インスリン製剤・経口血糖降下剤など糖尿病治療薬の効き過ぎによる低血糖の解説ではありません。
純粋な内分泌代謝の病気による低血糖症の解説です。
長崎甲状腺クリニック(大阪)は甲状腺専門クリニックです。糖負荷試験・低血糖症自体の診療を行っておりません。
内分泌代謝(副甲状腺・副腎・下垂体)専門の検査/治療/知見 長崎甲状腺クリニック(大阪)
甲状腺専門・内分泌代謝の長崎甲状腺クリニック(大阪府大阪市東住吉区)院長が海外(Pub Med)・国内論文に眼を通して得た知見、院長自身が大阪市立大学附属病院(現、大阪公立大学附属病院) 代謝内分泌病態内科で得た知識・経験・行った研究、日本甲状腺学会で入手した知見です。
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- インスリン自己免疫症候群
- インスリノーマ (インスリン産生腫瘍)
- IGF-2(インスリン様成長因子2)産生膵外性腫瘍
- 甲状線機能亢進症
- 甲状線機能低下症(インスリン拮抗ホルモンの機能不全:低インスリン性低血糖)
- 副腎皮質機能不全(インスリン拮抗ホルモンの機能不全:低インスリン性低血糖)
- 成長ホルモン(GH)分泌不全(インスリン拮抗ホルモンの機能不全:低インスリン性低血糖)
- 詐病性低血糖症
- (かなり稀)異常な偏食・異常行動は成人発症Ⅱ型シトルリン血症
- ケトン性低血糖症
Summary
インスリノーマ (インスリン産生腫瘍)の約90%は単発の良性腺腫、70~80%は膵体尾部に発生、多発性内分泌腺腫症1型(MEN1)の約10%に発症。症状は空腹時、時に食後の低血糖や肥満(高血糖でHbA1Cは高目に出る事も)。診断はFajans指数(インスリン/血糖)0.3以上、腹部ダイナミックCT・ダイナミックMRI、絶食試験、Ca負荷試験・選択的動脈内Ca注入試験。治療は可能な限り手術摘出。インスリノーマ関連タンパク質1(INSM-1)は小細胞肺癌や膵内分泌腫瘍、甲状腺髄質癌などで発現され、診断に有用なマーカー。
Keywords
インスリノーマ,低血糖,インスリノーマ関連タンパク質1,膵内分泌腫瘍,甲状腺髄質癌,ダイナミックCT,ダイナミックMRI,インスリン産生腫瘍,症状,診断
膵臓に発生してインスリンを分泌するインスリノーマは、100 万人に4 人(25万人に一人)の稀な内分泌腫瘍です。
インスリノーマの約90%は単発の良性腺腫ですが、多発性や転移を伴う悪性腫瘍も約10%程存在します。70~80%は膵体尾部に発生します。
多発性内分泌腺腫症1型(MEN1)の約10%に発症し、20~30%は20歳前後で診断されます。
[World J Gastroenterol. 2013 Feb 14;19(6):829-37.][J BUON. 2020 May-Jun;25(3):1302-1314.]
インスリノーマでは、恒常的なインスリン過剰分泌により低血糖を来します。インスリノーマの低血糖は空腹時に起きる場合が多いですが、食後に起きる場合もあります。また、高血糖に肥満を伴う事があります。明らかな肥満まで行かなくとも、体重増加を伴い、
- 低血糖を避けるため食事の頻回摂取
- インスリン自体の脂肪蓄積作用(脂肪同化作用)
などが考えられます。[Endocrinol Metab Clin North Am. 2003 Dec;32(4):895-914.]
肥満をおこしたインスリノーマ
インスリンの作用、および低血糖による過食で肥満を来したインスリノーマでは、耐糖能異常によりHbA1Cや75g-OGTTが糖尿病型になることがあります。(第207回近畿地方会:P140,耐糖能異常を合併したインスリノーマの1例)
インスリノーマで肥満があれば、HbA1Cは高目に出る可能性があります。[Dtsch Med Wochenschr. 1999 Mar 5;124(9):248-52.]
インスリノーマの診断は、
- 24時間持続ブドウ糖モニター
- 12時間の絶食後、空腹時血糖とインスリン(あるいはCペプチド)を測定します。血糖値が 50 mg/dL以下、インスリンやCペプチドが高ければ(インスリン 6 μU/mL、Cペプチドが0.6 ng/mL 以上)、インスリノーマを疑って膵臓を精査します。インスリンは高くなくても、Fajans指数(インスリン/血糖)が、9時間以上の絶食後0.3以上になります
- インスリノーマは腹部ダイナミックCT の早期相で濃染。腹部MRIでは膵癌と同様にT1 強調画像で低信号、T2 強調画像で高信号だが、ダイナミックMRI動脈相で造影されるため鑑別可能。
- インスリノーマらしき腫瘍がみつかれば、EUS-FNA(超音波内視鏡での穿刺細胞診)で、腫瘍細胞を採取します。膵島細胞が見つかればほぼ確実。
- さらに診断を確定するため、
絶食試験(24時間以内で2/3,72時間以内でほぼ100%に低血糖発作を誘発)
Ca負荷試験・選択的動脈内Ca注入試験(上腸間膜動脈・脾動脈・背側膵動脈にCa注入して刺激を与え、血中インスリンを測定)等を大阪公立大学(旧 大阪市立大学病院) 代謝内分泌内科で行います。
インスリノーマ 腹部単純MRI T1WI 強調画像で低信号、T2WI 強調画像で高信号[Journal of Clinical and Translational Endocrinology: Case Reports 19 (2021)100075]
- 可能な限り手術で摘出
- ジアゾキシド(アログリセム®:高インスリン血性低血糖症治療薬)
- エベロリムス(アフィニトール®)、スニチニブ(スーテント®):腎細胞がんに適応のあるmTOR(哺乳類ラパマイシン標的タンパク質)阻害薬(アフィニトール®)、スニチニブ(スーテント®)は膵神経内分泌腫瘍(ほぼインスリノーマを指します)にも有効です。
mTORは細胞増殖シグナルや血管発育シグナルを中継するものです。mTOR阻害薬は高率に薬剤性間質性肺炎・感染性肺炎をおこし厄介です。
インスリノーマ関連タンパク質1(INSM-1)は、小細胞肺癌や膵内分泌腫瘍などで発現されます。甲状腺髄質癌(MTC)の穿刺細胞診検体の93.75%にINSM-1発現を認め、診断に有用なマーカーと考えられます[J Am Soc Cytopathol. 2020 May-Jun;9(3):185-190.][Cell Oncol (Dordr). 2020 Jun;43(3):367-376.]。
甲状腺でも低血糖 を御覧ください
甲状腺関連の上記以外の検査・治療 長崎甲状腺クリニック(大阪)
- 甲状腺編
- 甲状腺編 part2
- 内分泌代謝(副甲状腺/副腎/下垂体/妊娠・不妊等
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長崎甲状腺クリニック(大阪)とは
長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査など]による甲状腺専門クリニック。大阪府大阪市東住吉区にあります。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,生野区も近く。









