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橋本病(慢性甲状腺炎)合併シェーグレン症候群(ドライアイ,口中乾燥):唾液腺(耳下腺・顎下腺)エコー[甲状腺 専門医 橋本病 バセドウ病 長崎クリニック(大阪)]

甲状腺:最新・専門の検査/治療/知見① 長崎甲状腺クリニック(大阪)

甲状腺の、長崎甲状腺クリニック(大阪市東住吉区)でしかできない検査/治療・当院ホームページでしか得られない情報が満載です。これらは、院長が最新の海外論文に眼を通して得たもの、院長自身が大阪市立大学 代謝内分泌内科で行った研究、甲状腺学会で入手した知見です。

橋本病(慢性甲状腺炎)合併シェーグレン症候群

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Summary

橋本病(慢性甲状腺炎)合併シェーグレン症候群潜在性シェーグレン症候群(ドライアイ,口中乾燥)を解説します。唾液腺(耳下腺・顎下腺)超音波(エコー)検査,間質性肺炎,間質性腎炎の合併,甲状腺機能亢進症/バセドウ病の関連も説明します。

橋本病(慢性甲状腺炎)合併潜在性シェーグレン症候群/顕在性シェーグレン症候群(ドライアイ,口中乾燥):唾液腺(耳下腺・顎下腺)エコー

顕在性の(膠原病の診断基準を満たす、難病指定の)シェーグレン症候群

顕在性の(膠原病の診断基準を満たす、難病指定の)シェーグレン症候群のほとんどは血中抗SS-A抗体、抗SS-B抗体が陽性で、唾液腺に高度の破壊を伴います。

橋本病(慢性甲状腺炎)の16%にシェーグレン症候群が認められます。シェーグレン症候群の約7%で橋本病(慢性甲状腺炎)が認められ、約3%でバセドウ病が認められます。(Clin Rheumatol. 2006 25 240-245. PMID 16247581)

潜在性シェーグレン症候群(隠れシェーグレン症候群)

橋本病(慢性甲状腺炎)合併シェーグレン症候群(ドライアイ,口中乾燥):唾液腺(耳下腺・顎下腺)エコー

橋本病(慢性甲状腺炎)の40%は、唾液腺、涙腺が破壊され、口や眼が乾く(ドライマウス・ドライアイ)潜在性シェーグレン症候群を合併します。

顕在性の(膠原病の診断基準を満たす、難病指定の)シェーグレン症候群のほとんどは血中抗SS-A抗体、抗SS-B抗体が陽性ですが、潜在性シェーグレン症候群血中抗SS-A抗体、抗SS-B抗体は陽性にならず、潜在性シェーグレン症候群の診断の役に立ちません。

 バセドウ病シェーグレン症候群潜在性シェーグレン症候群の併発はないと言われていますが、現実に存在します。恩師 稲葉雅章 大阪市立大学 代謝内分泌内科教授の抗体併存説では、矛盾なく説明可能です。事実、橋本病(慢性甲状腺炎)の自己免疫抗体、抗サイログロブリン抗体(Tg抗体)抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(TPO抗体)のいずれかが甲状腺機能亢進症/バセドウ病の79%で陽性です(上條甲状腺クリニックの統計)。

唾液腺(耳下腺・顎下腺)超音波(エコー)検査

顕在性の(膠原病の診断基準を満たす、難病指定の)シェーグレン症候群のほとんどは唾液腺の破壊は高度ですが、潜在性シェーグレン症候群の唾液腺の破壊は軽度です。しかし、唾液腺(耳下腺・顎下腺)超音波(エコー)検査は、わずかな破壊でも診断可能です。

顎下線・耳下腺 超音波(エコー)画像  
潜在性シェーグレン症候群(軽度の破壊)超音波(エコー)画像

潜在性シェーグレン症候群顕在性の(膠原病の診断基準を満たす、難病指定の)シェーグレン症候群ほど唾液腺(耳下腺・顎下腺)は、破壊されません(軽度の破壊)。

潜在性シェーグレン症候群(中等度の破壊)超音波(エコー)画像

潜在性シェーグレン症候群:中等度の破壊。

バセドウ病合併潜在性シェーグレン症候群/顕在性シェーグレン症候群

バセドウ病でのシェーグレン症候群潜在性シェーグレン症候群の併発はないと言われていますが、現実に存在します。恩師 稲葉雅章 大阪市立大学教授の抗体併存説では、矛盾なく説明可能です。事実、橋本病(慢性甲状腺炎)の自己免疫抗体、抗サイログロブリン抗体(Tg抗体)抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(TPO抗体)のいずれか甲状腺機能亢進症/バセドウ病79%で陽性です上條甲状腺クリニックの統計

潜在性シェーグレン症候群/顕在性シェーグレン症候群の症状

  1. 唾液腺、涙腺が破壊され、口や眼が乾く(ドライマウス・ドライアイ)。
  2. 口内乾燥で虫歯・舌炎おこします(亜鉛欠乏症と鑑別)。
  3. 汗腺の障害により皮膚が乾燥したり(甲状腺機能低下症併発するとさらに乾燥)
  4. 脱毛(甲状腺機能低下症併発すると、さらに脱毛)(亜鉛欠乏症副腎皮質機能低下症と鑑別)
  5. 鼻が乾燥して鼻出血を起こすこともあります。

甲状腺機能低下症と同じ全身症状

シェーグレン症候群潜在性シェーグレン症候群の全身症状として、甲状腺機能低下症亜鉛欠乏症副腎皮質機能低下症と同様、疲労感・記憶力/集中力低下・頭痛/めまい・精神的に不安定/うつ傾向などをよくおこします。

シェーグレン症候群潜在性シェーグレン症候群を合併した甲状腺機能低下症/橋本病では、これらの症状が、両方の病気から生じる可能性があります。

潜在性シェーグレン症候群/顕在性シェーグレン症候群の合併症

間質性肺炎

また、シェーグレン症候群間質性肺炎合併の可能性あり、空咳などがあれば肺CTを撮った方が良いでしょう甲状腺と肺 (原因不明の咳)(単に気道の乾燥による気管支炎の事もあります。)

膠原病性間質性肺炎はNSIP(非特異的間質性肺炎)の形態で、不可逆性の蜂巣肺にはなりにくいです。肺活量/肺胞拡散能(DLco)は低下しますがCO2は拡散しやすいく体内に溜ることはありません。

間質性腎炎

さらに、間質性腎炎合併の可能性あり。40%に遠位尿細管性アシドーシスおこし、低カリウム血症による

  1. 低カリウム性ミオパシー:筋力低下・筋肉痛・筋けいれん・高CK血症・横紋筋融解症(筋肉が融解し腎不全)
  2. QT延長症:心室頻拍など致死性不整脈に移行
  3. 橋中心髄鞘崩壊(脳神経の崩壊で致死的)

に至ります。カリウム剤・ウラリット=クエン酸K投与

間質性腎炎 超音波(エコー)画像

多発性関節炎

関節リウマチのような多発性関節炎をおこしますが、関節変形はほとんどありません。(関節リウマチと合併すると関節変形します)

バセドウ病関節症/橋本病関節症(甲状腺関節症)と鑑別必要(関節痛、関節リウマチと甲状腺・乾癬性関節炎)

多発性単神経炎

単神経炎

全身性エリテマトーデス(SLE)のような多発性単神経炎おこしますが、シェーグレン症候群の単神経炎は多彩です。下肢に疼痛おこり、

  1. 腰椎椎間板ヘルニアや
  2. 甲状腺機能亢進症/バセドウ病の治療薬[抗甲状腺薬(メルカゾール、プロパジール、チウラジール)]を一年以上服薬後のまれな副作用で、抗好中球細胞質ミエロペルオキシダーゼ抗体(MPO-ANCA,P-ANCA)によるMPO-ANCA関連血管炎

との鑑別必要になる場合あります。

シェーグレン症候群の単神経炎はステロイド抵抗性の報告多いが、ステロイドパルス療法が奏功した症例もあります。(第209回 日本内科学会近畿地方会 演題84 急性発症の右下肢多発単神経炎を呈したに対しステロイドパルス療法が奏功した1例)

高ガンマグロブリン血症による皮疹

高ガンマグロブリン血症

高ガンマグロブリン血症による皮疹が下腿内側部に現れます。褐色のヘモシデリン沈着を伴う、米粒大の多発性紫斑です。シェーグレン症候群以外にも、多発性骨髄腫、原発性マクログロブリン血症でも見られます。( 多発性骨髄腫と甲状腺・高カルシウム血症 , 甲状腺アミロイドーシス )

その他の合併症

その他、

  • 環状紅斑、浮腫性紅斑が顔面皮膚に出ることあります
  • 胃液の分泌量低下よる慢性胃炎
  • 全身性エリテマトーデス(SLE)のような白血球減少(白血球アポトーシス亢進)を伴うことがあります。

潜在性シェーグレン症候群/顕在性シェーグレン症候群の治療薬

橋本病(慢性甲状腺炎)合併潜在性シェーグレン症候群治療薬
甲状腺機能亢進症/バセドウ病の131-I治療による唾液腺障害による口腔乾燥症治療薬でもある

  1. 人工唾液サリベート:成分はリン酸二カリウム/塩化カリウム 塩化カルシウム 塩化ナトリウム 塩化マグネシウムです。1日5回噴霧で10日分/1本.
  2. セビメリン(サリグレン®,エボザック®):唾液腺を刺激して、唾液分泌を増やす薬です.
    重度の狭心症/心筋梗塞/甲状腺機能亢進症/バセドウ病の頻脈性不整脈、気管支喘息/COPD、パーキンソン病に禁忌.
    その他, 吐き気, 腹痛/下痢, 多汗, 動悸の副作用
  3. ヒアレイン点眼液®(ヒアルロン酸):ドライアイ

潜在性シェーグレン症候群から顕在性シェーグレン症候群への移行

国立病院機構旭川医療センターの報告では、橋本病(慢性甲状腺炎)合併潜在性シェーグレン症候群の約15%は、1年後に顕在性シェーグレン症候群へ移行します。(第54回 日本甲状腺学会 P138 橋本病患者における唾液腺超音波検査を用いた潜在性シェーグレン症候群の検討:第二報刺激型、阻害型抗TSH受容体抗体価の変動により亢進症から低下症へ移行し再び亢進症をきたしたバセドウ病の1例)

抗SS-A抗体陽性全身性エリテマトーデス(SLE)

本来シェーグレン症候群の特異抗体である抗SS-A抗体陽性の全身性エリテマトーデス(SLE)では、蛋白漏出性胃腸症起こしやすいとされます。免疫複合体が消化管の毛細血管に沈着し、血管透過性が亢進するのが原因です。軟便が続き、低アルブミン血症、全身浮腫が著明になります。タンパク漏出シンチグラフィーで診断できますが、アイソトープ施設のある大学病院などでしか行えません。(日本内科学会雑誌 100:119-125,2011)

 

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